子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします!

 近年、「ブレインフード」という言葉を少しずつ耳にするようになりました。ブレインフードとは、脳をよくする食べ物をさす言葉です。元々は、子どもの脳を成長させる食べ物だけでなく、アルツハイマーなどの脳疾患や加齢からくる脳の衰えに対し、脳をストレスから守る食生活のことも意味していました。

 脳にいい食べ物は年々、注目されるようになっています。しかし「何を食べるか」と同じくらい、何を「どのように食べるか」ということが大切です。ここでは脳にいい食習慣についても考えてみたいと思います。

代表的なブレインフード

 第1章でお伝えしたように、「育脳」に大切な栄養素は、オメガ3系脂肪酸、レシチン、カルシウム、低GI値の炭水化物、ビタミンB群、鉄分です。ですから、これらを含む食材がブレインフードということになります。

 具体的には、魚、卵、大豆、乳製品、レバー、分づき米、オートミール、ナッツなどです。オメガ3系脂肪酸は魚から取れます。レシチンを含む代表的な食品は卵と大豆です。カルシウムは吸収率がポイントでした。ビタミンB群は、比較的幅広い食品に入っていました。鉄はヘム鉄から取るのがポイントでしたね。低GI値の炭水化物のなかでも私のおすすめは、分づき米とオートミールです。オートミールは蒸したオーツ麦を押しつぶして乾燥させたもので、食物繊維が豊富です。栄養価の高い玄米と比べても食物繊維は3倍、鉄分は2倍、カルシウムは5倍含まれています。さらには他の穀類と違い、炊いたりゆでたりしなくても、牛乳やお湯で簡単にふやかせる点で非常に魅力的です。和だしとも合いますので、スープやみそ汁に入れられる手軽さがポイントです。

ナッツは天然のサプリメント

 もうひとつ、ブレインフードでおすすめはナッツです。アーモンド、くるみ、カシューナッツなど、ナッツにはさまざまな種類がありますが、これらには不飽和脂肪酸である「αリノレン酸(オメガ3系脂肪酸の一つ)」「オレイン酸」のほか、ビタミン(特にビタミンE)・ミネラル・食物繊維など、たくさんの栄養素が含まれ、天然のサプリメントと呼ばれるほどです。

 ナッツは一度に多く摂取することは難しいかもしれませんが、砕いて仕上げにぱらぱらとかけるだけで食感や風味がプラスされ、料理にも使いやすいでしょう。

 ナッツを使う際のポイントは、酸化させないために加熱せず、最後に加えるということです。ちなみに、市販されているアーモンドには、素焼きアーモンド(ローストアーモンド)と生アーモンドがあります。素焼きアーモンドは香ばしく食感もいいのですが、アーモンドの成分は約半分が脂質なので、火を通すと酸化しやすくなるというデメリットがあります。他方で、生のアーモンドは素焼きに比べて食感が柔らかく、アーモンド本来の甘味が残っています。しかし生のアーモンドのなかには、酵素抑制物質(発芽抑制因子)というものが存在します。これは種子が適切な環境下で発芽するよう調整するための物質で、人間の体には害ですから、生のアーモンドの場合は一晩浸水させてから食べるといいでしょう。

 個人的には、浸水させた生のアーモンドは食感が優しく、脂質が酸化していないという点でおすすめですが、素焼きと生、それぞれにメリット・デメリットがありますから、好みや気分で使い分けるのもいいかと思います。

脳にいい食習慣は?

(1)「魚×ゴマ」など食材を組み合わせる

 脳にいい食材=ブレインフードについて解説してきましたが、ブレインフードが持つ栄養素を最大限に生かすためには、食材の組み合わせがとても大切です。第1章でも詳述しましたが、ここでもう一度おさらいをしてみましょう。組み合わせがよいと効果が増したり、逆に効果が減ったりしてしまうので、ぜひ頭に入れておいてください。

 また、この栄養素が入った食材を掛け合わせて料理を作るべきということではなく、一食の献立のなかにこの組み合わせが入っていれば、同時に摂取できますので、ざっくりと覚えておいてください。

1.オメガ3系脂肪酸(魚)×ビタミンE(アーモンド・ゴマ)
2.レシチン(卵・大豆)×ビタミンC(ブロッコリー・ピーマン)
3.カルシウム(しらす・チーズ)×マグネシウム(あおさ・わかめ)、ビタミンD(まいたけ・さけ)、ビタミンK(納豆・ほうれん草)
4.低GI炭水化物(玄米・分づき米)×ビタミンB1(豚肉・うなぎ)
5.(大豆・小松菜)×ビタミンC(キャベツ・トマト)逆に、鉄分×カテキンはNG!

 

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
■第2章 脳と味覚はどう育つ
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