子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします!

噛む回数は一口につき30回が目安

 食べるのが遅い原因は大きく分けて2つあります。

① 食べ方に問題がある。咀嚼回数が多すぎたり、少ない量を口に入れて食べたりするので、時間がかかる。
② 単純に食べたくない、食べることに興味がない。集中して食べられない。

 後者のパターンは小食の子に多いですが、早く食べなさいと促したり、介助したりすれば時間はかかるものの完食できてしまうので、親も完食させることに注力してしまいます。結果、毎回時間がかかってしまうというパターンです。食べるのが遅い場合は、まずどちらのパターンなのかを見極めたうえで対策を考えていきましょう。

 実は、①の理由で食べるのが遅い子の場合、よく噛めていることが多いのです。お子さんの咀嚼回数を試しに数えてみてください。先述したように、噛む回数は、一口につき30回が目安です。お肉や固めの野菜を30回以上噛めている場合、きちんとした習慣が身に付いている証拠です。なのに、早く食べなさいと急かしすぎると、噛まずに飲み込む習慣が身に付いてしまいます。

 しっかり噛めている子は、口をもごもご動かしていることに飽きてしまい、途中で休憩したり、他のことをしたりしがちです。こういうとき、「また遊んでいる」「早く食べなさい」と頭ごなしに叱りたくなりますが、口は咀嚼している真っ最中かもしれません。「しっかり噛んでいて偉いね」と声をかけたり噛む回数を数えたりして、食事や咀嚼に意識を戻してあげてください。

 もともと咀嚼や飲み込みが苦手で柔らかいものを好んで食べる子もいますし、一番奥の歯が生えてくる3〜4歳、歯が生え変わる小学校低学年のころは、特にうまく咀嚼ができません。慣れるまで、形状を変えるなどして食べやすくすることもひとつの手です。

食卓の周りに集中力をそぐものを置かない

 ②の食べることに興味がない子、小食で食べるのが遅い子は、典型的な「だらだら食べ」になります。まず、食卓の周りに集中力をそぐものがないか確認をしましょう。テレビを見ながら、ゲームをしながらの食事はだめです。

 また、子ども一人の食事はつまらなくて、遊びながら食べてしまうことにつながります。「いただきます」と一緒に食事をスタートしたのに、先に食べ終わったからといって大人だけ席を立ったり、洗いものを始めたり、テレビをつけたりするのはやめましょう。「ごちそうさま」まで付き合ってくださいね。

 特に朝ごはんは、起きたてで胃腸も動かず、だらだらと食べてしまう子が多いと思います。パンよりごはんのほうが水分量が多く咀嚼しやすいので、早く食べられますよ。

 だいたい1回の食事で20~30分が目安です。「これを食べないと遊べないよ!」「テレビ見られないよ!」と急かしたり、もう食べたくないのにイヤイヤ食べさせたりという食卓環境はあまりよくありません。

 だらだら食べるのが習慣になっている場合は、食事の3分の2程度が終わっていれば、20~30分を目安に「もう終わりにしようか」と食器を下げてしまってください。また、ときには思い切って、量を少なめに盛ってみましょう。「お代わりしてね!」と声をかけるのを忘れずに。

食べるのが遅い子にほど「三角食べ」を教えて

 最後に、食べるのが遅い子には「三角食べ」を教えましょう。三角食べとは、ごはん、主菜、副菜などを順番に均等に食べていく食べ方のことをいいます。食べるのが遅い子どもが短い給食時間で白いごはんをまず平らげて、その後に汁物を飲んでと一品一品食べていると、途中で食事時間終了となり栄養が偏ってしまいます。三角食べで栄養の偏りを防いでくださいね。

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
■第2章 脳と味覚はどう育つ
■第3章 お悩み別!親子で取り組む食育

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