子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします!

4~5歳になると一般的に食欲は落ち着く

 離乳期~幼児期の初めのころは、脳の満腹中枢がまだ十分に発達しておらず、食欲に任せて食べすぎてしまうことが多々あります。この場合は、自分で食べすぎている感覚はありませんから、お代わりの量を見せておいたり、食べ終わったら歯ブラシを持たせたりと、食事が終わるということを繰り返し教えてあげるといいです。また「たくさん食べたね」という声がけも効果的です。

 ものすごくよく食べる子も、しばらくすると一旦は食欲が落ち着くことがほとんどです。視野が広がり、食事以外にもたくさん楽しいことがあるのだと気付くからです。むしろ、うちの子は食べなくなったと心配されるお母さんが多いのですが、4~5歳になると食欲は落ち着くものだと覚えておいてください。

 子どもが食べすぎるというのであれば、まずは、カウプ指数(幼児期)やローレル指数(学童期)、BMI(高校生以上)をチェックしてみてください。母子手帳にのっていますし、学校で成長曲線を付けている場合は、それも参考にしてみるといいでしょう。ただしあくまで「指標」にすぎないことをお忘れなく。

 その結果が肥満傾向にある場合は、食生活の改善が必要ですが、(1)標準体重の範囲内で、(2)食べた後吐くなどの不調はなく、(3)お菓子ではなく「食事」をたくさん食べている分には、食べすぎることをあまり深刻に捉える必要はありません。

 4~5歳以降になっても、よく噛まずに食べる子は、脳がなかなか満腹感を感じず、食べすぎてしまう傾向にあります。噛むことは食べすぎを防ぐだけではなく、この時期に身に付けるべき食習慣としてとても大切なものです。これについては「食べるのが早すぎる、遅すぎる」の章で詳しく説明します。

 学童期の子どもは、部活動や習い事などにもよりますが、日々かなりの運動量があります。思い切り体を動かした結果、おなかがすき、たくさん食べるということは健康な証拠ですから、あまり心配しなくてもいいでしょう。

まれにストレスによる食べすぎも

 しかしごくまれにですが、ストレスにより食べすぎている場合もあります。大人にかまってほしいとき、嫌なことがあったとき、気持ちに余裕がないときなどに、量をたくさん食べることで、心を満たしているのです。そんなときは、食べすぎだよと口うるさく言ったり、食べる量を制限したりする前に、わが子の食べ物の内容や食べ方を確認してみましょう。

 まず、多く食べているのはお肉・お魚なのか、ごはんやパンなどの主食なのか、それとも全体的にたくさん食べるのかをチェックしてみてください。特に食べすぎてしまうことが多いのはお肉です。お肉の量は大人でおおよそこぶし一つ分、子どもはこぶし半分が適量といわれています。から揚げなどの揚げ物は特に多く食べてしまいがちなので、気を付けてください。あらかじめ量を決めたり、いつもより少なめに作って物理的に食べられない状況をつくったり、脂肪分の少ない胸肉を使用したりしてみてください。

 そして、できるだけ食品の品数を増やすこと。食物繊維が豊富な野菜、きのこ、豆類を多くするのがいいですね。品数を増やすというと、それだけで負担に感じてしまう人もいるかもしれませんが、納豆や煮豆をプラスする、おみそ汁の具にえのきをプラスする、というように気軽に捉えてください。また、白米を分づき米にするのもおすすめです。毎日子どものリクエストどおりに作っていると、どうしてもカロリー・油脂・肉の多い洋食になりがちですので、きちんと大人が食事の内容をコントロールしましょう。

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
■第2章 脳と味覚はどう育つ
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