子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします!

食べてもらうコツ3箇条

① とにかく食べやすさを意識する

 固さもそうなのですが、とにかく大きさや形状を食べやすくするのが鉄則。小学校低学年くらいまでは、食べにくさが小食につながっていることが多々あります。食べやすくすると、少しずつでも食べる量は増えます。また、好きなキャラクターのお皿やフォークなどを使うことも効果的。幼児期はひょんなことから、食べる気がわいてくることがあります。

② 子どもにとって肯定的な言葉を使う

 「どうして食べないの?」「早く食べなさい」「また残したの」はNGワード。小食の子は、自分はごはんが少ししか食べられないという劣等感にも似た感情があります。ごはんのときは、なぜかお母さんが怒っていると感じている子もいます。食べてほしいあまり、キツい言葉をかけていませんか。

「アンパンマンのように大きなお口で食べてみようか」
「これを食べたらお姫さまのようにお肌つるつるになるよ」
「ウルトラマンみたいに背が高くなれるかも!」

 子どもがひょいっと口を開けてみたくなるような声がけをしてみましょう。

 お母さん、お父さんも、子どもの食べなかったものではなく、食べたものに意識を向けてみましょう。また食べてくれなかった!と思ってしまうと、心配になり、食事の時間がストレスになってしまいます。口うるさく言うことで、子どもに食事の時間が嫌なものだという認識を与えてはダメ。保育園や小学校で、どのくらい食べたかを先生に聞いて把握するようにします。そうすると補食をお代わりしたんだ、など意外と食べていることに気付けるかもしれません。

③ 食べる喜びを感じてもらう

 一般的な分量にはとらわれず、その子にとっての適量を盛り付けて、完食する喜びを教えてあげましょう。少なく盛って、完食したら褒めてあげる。「ちょっと背が伸びたんじゃない?」と言ったり、「ごはんのお皿をぴかぴかにすると、その分デザートをたくさん食べられるね」と言って、デザートのフルーツをいつもより多くあげたり。

 幼児食の本などに載っている分量はあくまで目安。幼児期は特に、量は子どもに委ね、食卓に並べる種類は親が決めるということを徹底してください。大人よりちょっと少なめ、ではなく、食べきれる量を盛り付けることを忘れずに。

 書籍では自家製ふりかけを中心としたごはんレシピを紹介しています。すぐにおなかがいっぱいといっても、白いごはんなら頑張れるという子もいるので、そんなときはパラパラとかけてあげましょう。市販のふりかけは塩味とうま味が強いことが多く添加物も心配なので、簡単におうちで作れる自家製ふりかけを子どもと一緒に作ってみてください。

 量の代わりに、質を重視してみましょう。栄養価の高い食材を積極的に用いること。固さや大きさなど、食べやすさという意味での質にもこだわってほしいです。そして食の細い子の食事の基本は「食べやすいもの」。どこで力尽きるか分からないので、食材を細かく切って混ぜて焼くようなスタイルが一番手軽で、栄養も取れるので、安心です。

ドラマティックな体験を

 食事に対してポジティブなイメージを持てるかどうかは、どれだけ楽しみながら食事をしたかという肯定的な経験・記憶の数で決まります。なるべく食にまつわる楽しい記憶を増やしてあげてください。特におすすめなのが、ドラマティックな体験です。例えば、BBQで皆で肉を焼いたり、海で釣りをした魚をその場で食べたりなどの食卓以外での非日常体験が、食に関する楽しい記憶として残ります。

 小さいときは小食だった子も、思春期になるとびっくりするほど食べるようになる場合もあります。焦る必要はありません。無理強いをせず乗り切ってくださいね。

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
■第2章 脳と味覚はどう育つ
■第3章 お悩み別!親子で取り組む食育

Amazonで購入する