子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします!

「五味」を意識して満足感を増す

 前回から、食べすぎる子への対応をお伝えしています。食事を作る際には、「五味」を意識してみるといいでしょう。似た味だと満足感がわきにくいです。酸っぱい、苦い、しょっぱいなど、いろいろな味が一食の中に入るようにしてみてください。

 また、お代わりの際は、から揚げなどの主菜ばかりではなく、ごはんもおみそ汁も副菜も、すべてのものを少しずつお代わりするという方法にしてみてください。

 さらに、食べ物の内容だけではなく、食べ方がとても大切です。夕食前におなかがすいたと訴える場合は、主食や副菜を先にあげてもかまいません。持ち運び可能なチーズなどでもいいですね。お菓子で空腹を満たすのはやめましょう。また、何か見ながら、読みながらなどの「ながら食べ」をしてしまうと満腹感を感じにくくなります。

 食べる順番も意識してみてください。おいしさには「アッパー系」と「ダウナー系」があり、砂糖や油、白米(糖質)はもっと摂取したくなるアッパー系のおいしさですから、食事の最後にごはんを食べてしまうと、もっと食べたくなってしまいます。それに対して、だしに代表されるうま味は摂取すると落ち着くダウナー系のおいしさと言われていますから、最後に汁物でしめるとほっと落ち着いて、食欲が満たされます。

 また、ひとつかふたつ、「食べすぎてもいい好きなもの」を作ってあげましょう。子どもが好きなもので、お菓子ではないもの、例えば、枝豆、煮干し、お麩などちょっとしたものがいいです。おなかを満たしてもいつまで食べても怒られない、そんなものがあれば食べすぎてしまう子も精神的に少し楽になると思います。

食べることに罪悪感を与えないで

 1960年以降、20歳前後の女性の身長は増加しましたが、体重は増加せず、体型は細くなってきました。

 また、小学4年生の女児の約5割にやせ願望があり、約35%に肥満恐怖が認められるという小学生のアンケート結果もあります。このように、標準体重比80%以下とやせているにもかかわらず、やせ願望を有する子どもは多くいます。

 最近は大人にとどまらず、小学生でもダイエットに取り組む子がいます。学童期は、成長期として体を作っており、特に生殖器官の発育、骨の成長のために非常に大切な時期です。ダイエットをすると本来必要な栄養素を摂取できなくなる恐れがあり、特に女子の過度なダイエットは、貧血・無月経・将来的な骨粗しょう症、不妊などにつながることもあります。また摂食障害などになる場合もあります。

 体重が増加してきて気になるのであれば、食事を調整するだけではなく、運動によって活動量を増やすことを意識しましょう。そして、特に女の子は「そんなに食べると太るよ」「ちょっと太ったんじゃない?」という大人のささいな一言を気にしてダイエットを始めてしまう場合もありますから、食べることに罪悪感を与えてしまうような不用意な発言はしないことです。

 食べすぎは落ち着く場合がほとんどですが、徐々に食事量をコントロールできるといいですね。

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
■第2章 脳と味覚はどう育つ
■第3章 お悩み別!親子で取り組む食育

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