子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、味覚を育て、勉強やスポーツなどを頑張れる子になるための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。『子どもの頭がよくなる食事』(日経BP社)から、一部をお届けします! 今回は「食が細い子」への対応についてです。

 好き嫌いと同じくらいお母さん・お父さんを悩ませるのが、食が細い子への対応です。小食の子はたいてい4種類に分けられます。

■ 単に「食事の時間」におなかがすいていない場合

 体を思い切り動かす時間がなくて、単純におなかがすいていない。または、食事の前におやつを食べすぎている。

■ 「親の食べてほしい量」と「子どもが実際に食べる量」が一致していない場合

 親が毎回多く盛り付け、それを完食しないからといって、うちの子は小食だと決めつけている。

■ 本当に「食事量」が少ない場合

 食事量が少ない場合にも2パターンある。ひとつは好き嫌いはないが「食べる行為」そのものに興味が持てず、促されないと食べなかったり、食卓での集中力が続かなかったりするパターン。もうひとつは好き嫌いが多くて食べられるものが少なく、食べるのも遅いパターン。

■ ムラ食いの一環として、「今は一時的に小食」の場合

 幼児期特有の食行動であるムラ食い。数日単位でよく食べる、ほぼ食べない、を繰り返す。数か月単位でムラ食いが続く場合もある。環境の変化やそれに伴う心理的要因が関係していることも。小学校への入学、下の子が生まれる、きょうだいの受験などの環境の変化…こういった場合は心のケアが先決。

 まず、子どもの食が細いことで、食べさせ方に問題があると自分を責めてしまう親が多いのですが、食が細いのはその子の個性であり性質です。胃袋の大きさ、小腸の腸壁からの吸収率の違いなどによって、たくさんの食事を必要とする子もいれば、少しの食事で効率よく栄養を吸収できる子もいます。ただ、もともと食が細い子を、少しの工夫で食べてみようという気にさせることはできます。

食卓につかせるコツ4箇条

 そもそも食が細い子は、食卓につくのを嫌がります。

① 役割を持たせる

 幼児期であれば「いただきます」「ごちそうさま」の声がけ、お箸を並べる、ごはんだよ!と言って家族を集める、などの役割を与えましょう。小学生であれば、積極的に盛り付けなどのお手伝いをお願いします。

② お風呂に先に入れて、食事を後にしてみる

 おやつを食べていて、おなかがいっぱいということもあります。そういう場合は、お風呂を先にするなどして、食事の時間を後ろにずらしてみましょう。ただし、寝る直前に食べるのは避けてください。食事をして血糖値が上がった状態で寝ると、睡眠の質が悪くなり、成長ホルモンの分泌も妨げられてしまいます。

③ 夜ごはんは少なめに、朝をきちんと

 小食の子は、朝にきちんと食べるように頑張ってみましょう。小学校に入ると、朝食を食べたか否かが小学校での学習効率に影響してきます。朝おなかをすかせるために、夜ごはんは少なめでかまいません。具体的には、夕食では主食であるごはんやパンを控えめに、そして何より、早起きをしましょう。いつもより20分早く起こせば、朝起きてから朝食開始の時間までが長くなり、食欲もわいてきます。オムレツや具だくさんみそ汁など、一品でたくさんの食材、栄養素が取れるものを出しましょう。

④ おやつを控え、きちんとお腹をすかせる

 おなかがすいたからといって、おやつをあげてしまうと、その後の食事は当然おなかに入りません。夕食を食べない理由の一番は、夕方の「おやつ」です。きちんとコントロールすることが大切です。

(写真/品田裕美)

食べ方と食べ物で脳と味覚を育てる!
『子どもの頭がよくなる食事』

子どもの脳や身体、味覚は、日々の食事によってつくられます。一児の母であり、「味覚の育て方」の講座が大盛況のフードアナリスト・とけいじ千絵さんが、「集中して勉強する」「運動を楽しむ」「元気に過ごす」ための食べ方、食べるものをわかりやすく解説します。すぐに作れるレシピも40種類紹介!

■第1章 頭がよくなる食べ方
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