日経DUALでは「待ったなしの少子化問題」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業を応援する取り組みとして、第3回となる「共働き子育てしやすい企業グランプリ」調査を実施しました。今回は、第3位に輝いたリコーの施策を紹介します。

【共働き子育てしやすい企業ランキング特集】
(1) 「共働き子育てしやすい企業グランプリ2019」結果発表!
(2) 上位4位~25位を発表!共働き子育てしやすい企業
(3) 共働き子育てしやすい企業調査 全質問項目を公開!
(4) 丸井 進化を続ける「ワーキング・インクルージョン」
(5) 大和証券 トップダウンで男女ともに19時退社励行
(6) リコー 信頼し合える風土づくりとリモート環境の両立 ←今回はココ!
(7) 「共働き子育てしやすい企業グランプリ2019」表彰式ルポ

<株式会社リコー>
創業/1936年 本社/東京都大田区 正社員数/9680人(女性比率は約14.8%)
理化学研究所の発明を工業化していた理化学工業株式会社から独立。現在は、オフィスプリンティングやIT環境の構築・運用支援等のオフィスサービス、商用・産業印刷等のプリンティング、産業プロダクツ(カメラ、3Dプリンター、ヘルスケア)等の事業を展開。

女性の活躍を阻んでいた「過剰な配慮」

 リコーは、平成4年の育児・介護休業法施行に先立つ、平成2年には育児休業制度と短時間勤務制度を導入するなど、歴史的にも仕事と育児の両立支援に取り組んできている企業だ。今回の調査結果からは全体として、多すぎず・少なすぎない、吟味した制度を適材適所に導入している、という同社の姿勢がうかがえた。評価ポイントのなかで特に注目したのは、「高い男性育休取得率および突出した取得日数」「リモートワークやサテライトオフィスの拡大とそれに伴うコミュニケーション施策の徹底」という2点。

 同社では2017年に社長直轄組織として「働き方変革プロジェクトチーム」を設置し、これまでも行ってきた働き方やダイバーシティーに関する取り組みを、さらに踏み込んだ全社的活動として強化している。人事本部 人事部 部長 兼 働き方変革プロジェクトリーダーの児玉涼子さんは、次のように話す。

 「2009年から女性活躍を主眼としたプロジェクトが始まりました。かなり早期から制度を導入し、女性の両立を支援してきていたにもかかわらず、当時社内には女性管理職も少なく、見えてきたのは出産・育児への様々な配慮のなかで、経験が積めずにいる女性社員たちの姿でした 。そうした女性社員には配慮されて働く後ろめたさや、もどかしさを感じている社員も少なからずいて、会社として様々な選択肢を用意する必要があることに気づいたのです」。

 両立層の女性でも、状況によって働き方を緩めたい人もいれば、もっと働きたい人もいる。必要なのはどちらの人も柔軟に働ける選択肢だ。こうして同社の女性活躍に向けた取り組みが始まった。

 「例えば、育休を取得した女性社員の多くは1歳で復職し、まれに保育園に入れなかった場合に2歳での復職があるという状況から、育休はポリシーを持って2年までとするなど、制度の導入にあたっては、 多過ぎず少な過ぎず、実態にフィットという点を常に意識しています」(児玉さん)。

 「多すぎない支援」に加え、両立支援制度は女性が使うものという空気感も変えることを目指した。そのためにもまず変える必要があったのが、「育児は女性のもの」という意識だった

人事本部 人事部 部長 兼 働き方変革プロジェクトチームリーダーの児玉涼子さん
人事本部 人事部 部長 兼 働き方変革プロジェクトチームリーダーの児玉涼子さん
<次のページからの内容>

● 男性育休、本部長の一言で100%を目指す
● 上司を巻き込んでの育休計画
● ツールを使いこなす土台となるコミュニケーション
● リモートワークを補完する1on1