共働きならではの14個の視点

 日経DUALでは2018年9月~2019年1月に、「共働き子育てしやすい企業グランプリ2019」を審査するため、企業約100社に調査票を送り、約半数から回答をいただきました。

 調査票を送る企業の選定方法は3通り。一つ目は、厚生労働省が公開している「女性の活躍推進企業データベース」サイトに掲載されている情報(2019年5月8日付け、約1万社)を分析し、その中から「男性育児休業取得率が高い」「平均残業時間が少ない」「年次有給休暇取得率が高い」「管理職に占める女性の割合が高い」という4つの項目において優秀な企業を従業員数の規模別に選定。もう一つは、これまで日経DUALで取材した中で、特に、男女に関わらず育児・仕事の両立を支援するための独自の工夫があるとわかった企業です。そして、公募企業を加えました。

 「共働き子育てしやすい企業」ランキングに当たり、最も重視したのは「男女、性別に関係なく育児中社員を支援する施策が用意され、キャリア推進できているか」という点です。共働き世帯が増え続ける中、男女社員が共に仕事と育児にまい進できる環境は、今後の日本企業にとって必須となります。一方で、仕事と育児を両立しやすい企業を評価する際には様々な視点があります。日経DUALでは特に「男女が等しい立場で仕事にも育児にも携わることができる」「女性が柔軟な働き方を選択できる」「男性が育休を取得できる風土がある」という点に注目しています。

 国が推進している、残業時間を減らして年休を取得する「働き方改革」に対しては、多くの企業が業務効率化の施策を進めています。そうした働き方改革の進め方も、「国に指導されているから導入した」のではなく、「企業が問題意識をもって自発的に取り組んでいる」という姿勢にも着目しました。

 優れた制度や施策を整えていても、社員がその制度の存在を知らずに使わないまま、ということもあり得ます。両立支援制度を用意するだけでなく、その制度を経営者から社員まで広く周知する工夫をし、制度を使っていない人には人事や上司の介入によって積極的に制度取得につなげるような仕組みがあるか。多くの社員がその制度を利用し尽せるのかという点も加味しています。上記の項目を評価するための「DUAL評価ポイント14」は以下のとおりです。

【DUAL評価ポイント14】
1) 対象となる男性社員の何割が(3日以上の)育児休業を取得しているか
2) 産育休を取得する(している・した)社員を対象に、両立支援の取り組みを実施しているか
3) 2)の両立支援の取り組みには、社員の配偶者も巻き込んでいるか
4) 在宅勤務制度があり、多くの社員に利用されているか
5) 月ごとの平均残業時間が短いか
6) 恒常的な残業を削減する取り組みを行っているか
7) イクボスを増やす取り組みを実施しているか
8) 社員の保活をサポートする取り組みがあるか
9) フレックス勤務制度を取り入れており、多くの社員により利用されているか
10) 業務効率化の施策を行っているか
11) 短時間勤務制度を柔軟に取ることができるか
12) 「時間当たり生産性」を社員の人事評価に入れているか
13) 性別や年齢等の属性に関係なく受けられる、キャリア教育の機会があるか
14) 経営戦略に「育児中社員の両立支援」や「働き方の改革」という視点が盛り込まれているか