生き物の取り扱いに計画性が必要なのは、個人も学校も同じ

 この結果は、47都道府県で似通っている可能性があります。なぜいるのかも、種類も分からない生き物を何となく飼い続けているというのは、学校現場で生き物に対しての危機管理が十分になされていないということ。でも、それをただ否定的に捉えるというのではなく、せっかくカメがいるのだから、先生たちがきちんと知識を持って学習に利用することで、子どもたちが生き物との正しい関わり方を知る機会につなげることができるわけです。

 学校現場はただでさえ忙しいのに、こういったアンケート依頼がいろんなところから届くから、なかなか返送してもらえないことがほとんどなんですね。にもかかわらず回収率がこれだけ高く、とりわけ小学校は約9割が協力してくれました。それだけ先生たちにも意識はされていたんですね。適切に管理する方法が十分に分からず、困っていたのかもしれません。

 結果については、先生たちが集まる教育研究会などでフィードバックしているほか、私が所属する静岡大学の教育学部で、将来教員を目指す学生たちに講義をしているので、その際に外来生物の扱い方や授業づくりについても指導しています。

 学校って、地域から生き物が持ち込まれやすいんですよね。要らないものは学校へ持っていけば何とかしてくれるだろう、っていう感覚があるので。アンケート結果からもそれは明らかになりました。でも、安易に何でも引き受けることはやはり問題があります。

 生き物を飼うときは計画的に。長期飼育することになるのかどうか、どんな種類の生き物が何匹必要なのか。これはペットを飼うときと同じです。そういう意識が今、個人や学校現場、もちろん会社も含めて、社会全体に求められています。