みなさんが小学生のころ、学校にはどんな生き物がいましたか。ウサギやニワトリなどは、交代でお世話をしていた記憶があるかもしれませんが、その一方で、学校の池や理科室の水槽に「学校の主」っぽいカメがいたりしなかったでしょうか?

 意外と小学校で飼われることの多いカメ。今お子さんが通っている学校にもいるかもしれません。では、それがどんな種類のカメか、子どもたちは知っていますか?

 連載最終回は、学校での生き物との関わりについてのお話です。

静岡の公立小中高校10校のうち1校にカメ。でもその来歴は…

 2015年12月から2016年7月にかけて、私は全国で初めて、静岡県内の教育現場でカメがどれくらい飼われているのかを調査しました。公立の小学校501校、中学校262校、高校90校にアンケートを郵送し、カメを飼っているか、飼っている場合は種類と飼育に至った経緯を尋ねました。

 このアンケートの目的は2つです。1つは、学校でのカメの扱われ方を知ること。生き物に関心を持ち、教材として適切に用いられているかどうか。そしてもう1つは、アカミミガメが2020年に特定外来生物に指定される可能性について話題となっていたためです。

 仮に特定外来生物に指定された場合、飼育には許可の申請が必要になります。そうした流れを知らずに学校に持ち込まれたアカミミガメを引き取ってしまうと、後々対応に苦慮することが予想されます。もちろん、野外に放すことは動物愛護管理法に違反します。アンケート調査は、アカミミガメの取り扱いへの理解と注意を事前に促すことも狙いでした。

 アンケートを送った学校の約86%から回答が得られました。その結果、10校に1校はカメを飼っていることが分かりました。しかし、入手経路については66%が「不明」。昔からいる、分からない、自分が着任する前からいた、などなど。学校で飼われているカメの過半数が、「何でこのカメがいるの?」という状態です。カメは寿命も長いですから、先生たちよりずっと長く学校にいる。なお、不明に次いで多かったのは「子どもや地域からの持ち込み」でした。

 また、種類についてはアカミミガメが最多の38.4%。一方で、種類が分からないという個体も32.1%に上りました。外来種か在来種か分からずに飼っているということは、教材として適切に扱われていないということを意味します。