メダカだと思って飼ったら…罰金300万円!?

 昔は自然というのは当たり前にあるもので、それを大事にしようというよりは、どうやって人間が便利に使おうかという視点で考えていたと思います。でも、ルールもなく自然を自由に利用した結果、環境が悪化してしまった。それを元に戻したいということが、多くの地域で言われています。子どもたちにも「どんな環境にしたい?」と聞くと、「トンボやメダカがいるような、きれいな場所にしたい」という声が返ってきますね。

 下の写真を見てください。よく似ていますよね。左は昔から田んぼや川にたくさんいたけれど、今や数が激減し、絶滅危惧種に指定されているメダカ。右は逆に増えている、アメリカ原産の外来種カダヤシです。カダヤシは、外来生物の中でも特に人や自然環境への被害が大きい「特定外来生物」に指定されています。メダカだと思って飼育や繁殖、放流をしたら、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

メダカ(左)は尾びれが角ばっているのに対し、カダヤシの尾びれは丸みを帯びていて、色はメダカより青っぽい(写真提供:加藤英明<メダカ>、国立環境研究所・侵入生物データベース<カダヤシ>)
メダカ(左)は尾びれが角ばっているのに対し、カダヤシの尾びれは丸みを帯びていて、色はメダカより青っぽい(写真提供:加藤英明<メダカ>、国立環境研究所・侵入生物データベース<カダヤシ>)
メダカ(左)は尾びれが角ばっているのに対し、カダヤシの尾びれは丸みを帯びていて、色はメダカより青っぽい(写真提供:加藤英明<メダカ>、国立環境研究所・侵入生物データベース<カダヤシ>)

 このカダヤシ、もともとは行政が1970年ごろ、積極的に川や池に放したのです。理由は蚊の幼虫であるボウフラを食べてくれるから。昔は生物農薬といって、天敵に生き物を駆除させる方法がとられました。でも、同じことはカダヤシではなくメダカでもしてくれるんです。

 また、沖縄には今、マングースがたくさん増えてしまっていますが、これもハブを食べてもらうことを目的に導入されたのが始まりです。でもマングースは昼間に活動し、ハブは夜に活動するので、そもそも会わないんですよ。100年ほど前には、それを知っている人がいなかったんですね。だから、一般の人たちであっても専門家であっても、生き物についてちゃんと調べて、適切な扱いをしないといけないのは同じです。

昔は食べていたウシガエル、今は駆除の対象

 生き物の定義や扱いは時代でも変わります。おじいちゃんやおばあちゃんは、昔の自然環境のことが頭に残っていて、「昔はこんな生き物はいっぱいいたよ。ウシガエルも捕って食べていたよ」なんて孫に話したりします。でもウシガエルは今、駆除が必要な特定外来生物です。

 ハクビシンは、少し前までは在来種だと考えられていました。しかし研究の結果、もともと日本にいた生き物ではないことが分かった。果樹への被害も深刻になっているので、今は積極的に捕獲すべき対象に変わっています。