犯罪を研究し、体験型防犯教育を広めている清永奈穂さん。防犯教育は0歳からスタートし、14歳くらいまでに、災害時や防犯のために社会の役に立つ人に育てることが目標だと話します。今回は、そんな力(安全基礎体力)を付けるために、0歳からどんな働きかけをしたらよいかを発達時期ごとに聞きました。デュアル世代の子どもたちにとって気になる心配事にも答えてもらいました。

子どもの発達段階に応じて、安全基礎体力を育てていく

 前回お話ししたように、自分で自分の身を守る「安全基礎体力」は、子どもの年齢に応じて育てていく必要があります。「安全基礎体力」の最終的な目標は、自分の身を守るだけでなく、犯罪に巻き込まれそうな人を救ったり、災害から人を救うこと。その目安は15歳くらいです。それまでの間に、大人はどのようなサポートをしてあげたらよいのかを4つの段階にまとめました。それぞれの段階を詳しく説明していきましょう。

●前自助段階 0歳~年中(3~4歳)前後

人を信じられる力を付けることが防犯教育の第一歩

 この時期の保護者に求められるのは、子どもに「寄り添う力」を発揮することです。寄り添う力というのは、ただ、子どものそばにいればいいということではありません。普段子どもと一緒に行く遊び場や買い物先で子どもの安全に気を配り、目を配るのも、その一つになります。

 3~4歳になると、身の回りのことを少しずつ自分でできるようになりますが、まだまだおぼつきません。赤ちゃんから3~4歳くらいの間は、人を信頼し、周りに甘えてもよいという気持ちを育てる時期です。親は率先して、保育園の先生や友達に大きな声で挨拶しましょう、また、子どもが周りの人とコミュニケーションを取れるように働きかけてあげましょう。共働き家庭だと、ベビーシッターやファミリーサポートなどの育児支援を利用することも多いですね。親がシッターさん、ファミサポさんを信頼し、挨拶をしたり会話をする姿を見せることで、子どもも安心して過ごせるようになります。

Q.ベビーシッターさんやファミリーサポートさんは子どもの命を託す存在です。信頼できる人かどうかは、どのように確認したらよいでしょう。


A.教育方針や安全に対する考え方を事前に確認。子どもの心と体のチェックも忘れずに

 この人にしようと決める前に、教育方針が一致するかどうかを事前に確認しておきましょう。例えば、テレビを見せるのかどうか、絵本を読むことを大事にしているかなど、わが家の方針と噛み合うかどうかを確認しておくと安心です。

 意外と見落としがちですが、叱り方についても必ずチェックをしておきます。いけないことはいけないと叱る一方で、いいことをしたらちゃんと褒めてくれるなど、叱り方、褒め方の考え方ができるだけ同じ人のほうが、信頼関係を築きやすいでしょう。

 また、キッチンやお風呂場、洗濯機の前に子どもを近づかせないなど、安全に気を配れる人かどうかも見極めのポイントになります。

 親が不在の間、子どもがシッターさんと楽しく過ごせているか心配なときは、シッターさんが帰ったあとの子どもの様子に気を配ってください。不安定になっている、言葉には出さないけれどやたらと泣く、ずっと黙っている、ご飯を食べない、涙を浮かべている、体に傷があるなど、心や体にいつもと違う変化が出ているときは、子どもからのSOSかもしれません。少しでもおかしいなと思ったときはシッターさんに様子を聞くか、言いだしにくいときは派遣会社に相談しましょう。

 ファミリーサポートさんの場合は、事前にマッチングの機会があり、希望すれば子どもを預かってくれる方の自宅の様子を見ることができます。どこで子どもを遊ばせるのかなど、実際に足を運んで、必ず確認しておきましょう。ご近所をぐるっと歩いてみるのもおすすめです。