●自助段階 年長(5歳)~小学校3年生(8~9歳)

一人で行動することが増える。身を守る術を教えよう

 自分の身を守る力を育める時期です。走る、しゃがむ、素早く動くなど、体を使う遊びをたくさん経験し、いざという時、危機を回避できる体力づくりをしましょう。

 小学校に入ると「学校に一人で行って、帰ってくる」「友達の家に子どもだけで行く」ことが始まります。いつも大人と一緒にいる生活から、子どもだけで行動するようになります。その時、危険なことがあったら大人の助けが呼べるよう、近所の安全な場所を体に染み込ませておきましょう。例えば、コンビニや、近所の友達の家などにいざとなったら飛び込めるように、親子で一緒に挨拶をしておくことも大切です。

 2年生、3年生になったら、一人でお使いに行くことなどもできるようにしましょう。近所のお店と知り合いになっておくことは、子どもに社会性を身に付けさせる上でとても大事です。少しずつ独り立ちする準備をしていきましょう

 この時期の子どもたちは、幼稚園や学校をはじめとする社会で友達とけんかをしたり、忘れ物をしたりと、さまざまな葛藤や失敗を経験します。心身に深刻なダメージを及ぼす危ないことからは守りつつも、子どもの行動や人間関係に干渉し過ぎず、見守ることも必要です。そして、失敗したときに「悔しかったね」「うまくいかなかったね」と子どもの気持ちに寄り添いながら、次からどうしたらいいか、一緒に考えることが大切です

 体力づくりでは、たくさん遊びなどを通して、どうやったら早く走れるのか、どうやったら上手に体を動かせるか、鬼ごっこでどれくらい鬼と離れていればタッチされないか(人との距離感覚)など、理屈ではなく体でいろいろな感覚を得ることができます。幼稚園、小学校低学年のうちは、時に公園などでいっしょに鬼ごっこなどをして遊ぶのもよいでしょう。

Q.春から新1年生です。学童保育からの帰宅は、暗くなる前の時間に一人帰りさせ、2時間ほど留守番させるか、遅くても集団帰りさせるかで迷っています。


A.慣れるまでは留守番の時間を短くするのがベターです

 明るいうちに一人帰りする場合は、お父さんお母さんが帰ってくるまでのお留守番の時間が長くなります。集団帰りの場合は学童保育が閉所する時間に一斉に帰ることが多いため、季節によっては外が真っ暗ということもあるでしょう。

 どちらも一長一短ありますが、小学校に入学したばかりの新一年生なら、慣れるまでは集団帰りでお留守番する時間を短くするのがベターです。途中までは学童の友達と一緒に帰ることができるので、そのほうが親も安心でしょう。春から夏は集団帰りで18時頃、秋から冬は一人帰りで16時半頃というように、季節によって帰宅時間を変えるのも一案です。

 ただし、集団帰りは友達と別れたらそこから先は一人です。例えば、学童から集団帰りをするのが18時くらいなら、一度その時間に一人で歩く道を親子で一緒に歩いてみて、子どもがどんなことに注意すればいいのかチェックしてみましょう。

 一人で歩いている子どもを後ろからつけてきて、子どもが玄関を開けると、そのまま一緒に家の中に侵入するという事案が最近、急増しています。子どもが自分で玄関の鍵を開けるときは、次のようなことに注意しましょう

・鍵は人から見えないところに付ける
・一軒家でもマンションでも、家から20メートルくらい手前のところで後ろを見て、ついて来ている人がいないか確かめる
・マンションの場合は、オートロックの手前とエレベーターホールでも後ろを確認する
・鍵は家に着く直前に取り出し、素早く開けて、すぐに玄関を閉めて鍵をロックする

Q.学童保育から一人帰りの場合、人通りの少ない住宅街と、車の多い駅前の商店街、どちらが安全?


A.困ったことが起きたときに助けてくれる大人がいるかどうかを判断基準にします

 歩道と車道が分かれているなら商店街を歩くほうが交通事故のリスクが低く、怪しい人がいるときにも助けてくれる大人がいます。日頃から親子で買い物するなどして、商店街の人と顔なじみになっておくようにすれば、なお安心でしょう。

 歩道と車道が分かれていないようなら交通事故のリスクがあるので、子どもが歩く時間帯の住宅街の人通りと車の量を調べてください。人通りが少ない住宅街でも、通勤通学の時間帯は意外と人が多いということがあります。この場合は、住宅街を歩かせたほうがいいでしょう。

 また、人通りが少なくても、知っている人や駆け込める家があるのであれば、そちらの道のほうがベターです