大きな地震が起きた後、共働きの家族は家族が一緒にいるとは限りません。子どもが一人で留守番をしていたら? あるいは登下校中だったら? 防犯を研究している清永奈穂さんによる「親子で知りたい防犯教室」最終回は、共働き家庭が知っておきたい、地震後を生き延びるための注意点をお届けします。

親が家にいない場合、子どもは学校か学童クラブへ戻るのが基本

台所で地震があったらどうするか訓練をした様子。とっさにフライパンで頭部を守った
台所で地震があったらどうするか訓練をした様子。とっさにフライパンで頭部を守った

 地震が起きたら、最初の8秒間のうちに安全な場所に素早く体を突っ込むことが大切です。安全な場所とは、物が落ちてこない、飛んでこない、倒れてこない、動いてこないところのこと。ウサギのように、左右と上をきょろきょろ見渡す「ウサギのポーズ」を取って、上から物が落ちてこないか、横から倒れてこないか確認して、移動します。

 前回の記事「地震の備え 発生から8秒の過ごし方を家庭で訓練」では、素早く安全な場所へ移動する「イモムシのポーズ」や、揺れている間、落下物から首の後ろを守る「カメのポーズ」、揺れをしのぐためにどこかにしがみつく「コアラのポーズ」を紹介しました。

ウサギのポーズで頭の上、左右の様子を確認する
ウサギのポーズで頭の上、左右の様子を確認する
揺れをしのぐためにどこかにしがみつくコアラのポーズ
揺れをしのぐためにどこかにしがみつくコアラのポーズ

 大地震の時は、約8秒間の小さな揺れのあと、ガタ、ガタタタタなどの音を伴いながら数十秒から長い場合で5分の強い揺れが続いて、沈静化します

大地震では最初に小さな揺れがあったのちに大きな揺れが続く。おさまるまでの時間は約5分8秒
大地震では最初に小さな揺れがあったのちに大きな揺れが続く。おさまるまでの時間は約5分8秒

 では、この約5分8秒間が過ぎた後は何をしたらよいのでしょうか。屋内にいたときは、その場にとどまるべきなのか、外へ出たほうがよいのか。子どもが登下校の途中なら、家へ戻るのか、学校へ戻るのか。清永さんは「その判断は状況によって変わってきます。一人で行動することも多い小学生以上の子どもも自分で判断しなければならないので、判断の基準を教えておきましょう」と、話します。

 例えば、登下校中や外にいるときに地震が起きた場合、家に帰っても親がいないときは、学校か学童クラブへ戻るのがベターだそう。「ただし、地震の後は、途中で火事が発生していたり、塀が倒れていたり、ガラスが散乱していたり、電線が垂れ下がっていたりといった危険な状況になっていることもあります。そのような場合は、近くの公園やコンビニエンスストアなどに避難するか、家に戻るように話しておきましょう

 親が職場で被災した場合など、数日間家に帰れない可能性があります。子どもにはしばらくの間、親と会えない可能性があることを話しておき、次のような準備をしておきましょう

●子どものカバンに入れておく
困ったときの連絡先、家族と会う場所、どの道を通って帰るかを書いたメモと、公衆電話用の10円玉(10枚くらい)、テレホンカード、防犯ブザーなど。

●緊急時の連絡手段を決めておく
携帯電話はつながりにくくなるので、SNSなどの連絡方法を決めておく。また、公衆電話がある場所をチェックし、公衆電話を使って電話をかける練習をしておく。

●災害用伝言ダイヤル「171」の練習をしておく
災害用伝言ダイヤル171は、下記の間、体験利用ができる。
毎月1日・15日 00:00~24:00
正月三が日 1月1日00:00~1月3日24:00
防災週間 8月30日9:00~9月5日17:00
防災とボランティア週間 1月15日9:00~1月21日17:00

 子どもが学校や学童クラブにいるときであれば先生方の指示に従えばいいのですが、「判断が難しいのは家にいるときです」と、清永さん。