総務省が発表した人口動態調査によると、日本で暮らす外国人は、2018年1月時点で249万7千人と過去最多を更新しています。厚生労働省が発表した働く外国人の数は約146万人(2018年10月末時点)。日本に家族を呼び寄せて暮らす外国人労働者も増えており、子どもの友達が外国人の子ということも、珍しいことではなくなっているのではないでしょうか。この4月には外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管法が施行され、今後5年間で外国人労働者とその家族はさらに増えることが見込まれています。日本社会全体が多様性を受け入れる準備を求められている今、子育てをするDUAL世代が意識すべきことはどういったことなのでしょう。各地の小学校や保育園などで体験型の安全教室を開催している清永奈穂さんに聞きました。

公立学校に在籍する外国人児童生徒数は7万人

 全国の中でも東京で暮らす外国人は、過去最多の55万人。中でも新宿区は4万3068人と飛び抜けて多く、江戸川区3万5710人、足立区3万1706人(東京都総務局。2019年1月1日時点)と続きます。

 外国人住民の増加は東京などの大都市にとどまりません。製造業や農業といった様々な産業を支える存在として働く外国人労働者は、全国各地で増え続けています。それに伴い、公立の小中学校に在籍する外国人児童生徒の数も約7万人(文部科学省。平成27年度学校基本調査)に上り、学校も多国籍化が進んでいます。

 外国人住民にとって、慣れない異国では生活情報を手に入れるのも簡単ではないことが想像できます。言葉の壁もあり、日常生活や子どもが通う学校に関するさまざまな情報、安全に対する知識が不足する中で子育てをしていることも考えられます。

 例えば、イギリス、アメリカ、中国などの小学校では、保護者が送り迎えをしていますが、日本では小学生になったら子どもが一人で登下校するのが当たり前です。「そこだけを見ると日本は子どもが一人で歩けるほど治安がいいのかと思われがちですが、必ずしもそうではありません。諸外国に比べて誘拐事件などに巻き込まれることは少なくても、登下校中の子どもを狙った声掛けや連れ回し、強制わいせつなどの犯罪は後を絶たないのが実情です」

 日本人の親は、子どもを一人で歩かせるリスクがゼロではないと分かっているので、子どもに「暗い道を子ども一人で歩かない」「知らない人に誘われてもついていかない」など、ある程度の安全教育をしています。けれども、外国人の家庭ではどうでしょうか。

  「どのような犯罪が多いかは国によって異なります。安全に対する感覚も国によって違います。戸締まりの習慣がない国の人は、日本でも同じように戸締まりをしないで暮らしているかもしれません。

  母国ではどんな犯罪に気を付けなければならないか知っていても、日本での防犯の知識がなかったら、連れ去り等の被害に遭わないためにどんなことに注意したらよいかは分かりません。ある程度防犯の知識を持っていたとしても、その予備知識が日本では通じないので、親も子も無防備なままといってよいと思います。そういった親子が大勢いるのに、きめ細かい安全教育が行われていない点が心配です。

 誰かが力を貸さなければ、外国人の子どもたちもその家族も犯罪の脅威にさらされたままなのです

 2017年3月、千葉県松戸市でベトナム国籍の女の子、レェ・ティ・ニャット・リンちゃん(当時9歳)が殺害・遺棄される事件が起こりました。被告人が当時の保護者会の会長だったことは、全国の親に大きな衝撃が走りました。日本で子育てをしている外国人の親たちのショックも大きかったのではないでしょうか。

清永さんが指導する体験型安全教室の訓練風景。声を掛けられたリ、連れ去りに遭いそうになった時、どのように対応するかを指導している
清永さんが指導する体験型安全教室の訓練風景。声を掛けられたリ、連れ去りに遭いそうになった時、どのように対応するかを指導している

次ページから読める内容

  • コミュニティになじもうとする子どもの心につけ込んだリンちゃん事件
  • 安全教育について脆弱な外国人の子には特別な配慮を
  • 外国人親子が安全に暮らすために私たちにできる7つのこと
  • どの国の子も地域の一員として育てていく視点が大事

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