なぜ、自分はその家事が嫌いなのか、原因を徹底的に考える

 人それぞれ、得意な家事と苦手な家事があると思いますが、苦手に感じるのは必ず理由があり、それを突き詰めて考えてみるのが第一だと飯田さんは語ります。

 「例えば、洗濯は好きだけど干すのが嫌いとか、料理は好きだけど包丁で刻むのが嫌いとか、家事にも好みがありますよね。洗濯物を干すのが嫌いな人は、よく聞いてみると外で干すときに虫がいるのが嫌だったり、刻むのが嫌な人は包丁がよく切れないことをストレスに感じていたり。潜在的な原因は何なのかをとことん考えてみてください。その理由を解決すれば、ストレスは軽減されるはずです

 そして、家事を効率化するうえで一番重要なのが「収納」というのが、飯田さんの基本スタンスです。確かに、掃除の片付けと収納は関係がありそうですが、料理や洗濯にも収納が関係しているのでしょうか?

 「あらゆる家事は、道具を使います。料理なら包丁や鍋、掃除なら掃除機や雑巾、洗濯も洗濯かごなど色々使いますよね。その道具の出し入れのしやすさが、家事のストレス度合いを左右するんです。

 そして、出し入れのしやすさは収納にかかっています。私は、『収納は茶の心』と言っているのですが、茶道の所作は実に理にかなっていて、無駄な動きがありません。何か道具を取るときも右往左往することなく、すっと美しく手に取ることができるようになっています。収納も同じで、道具をしまう場所やしまわれ方が家事の動線に沿ったものであれば、家事を始めるときの心の負荷が非常に軽くなります。後片付けもスムーズになり、部屋の中が散らからなくなるので、これもまた心のストレスを軽減してくれるのです」

 収納を整えるのが家事ストレスフリーへの最大の近道ということですが、言うは易く行うは難し。収納は暮らしやこだわりの違い、限られたスペースの中での配置など、同時に考える要素が多いので、周到に決めなければならないものなのだとか。「簡単収納術!」や「これさえあればOK!」というキャッチーな言葉があちこちで取り上げられますが、付け焼き刃的にやるだけでは、すぐに元通りになるリバウンドを起こしてしまうケースが多いそうです。

 「どこで出し入れしたいのか? どうすればパッと出せるのか? この二つをポイントに、あらゆるモノに指定席を作る。これが私の考える、リバウンドしない収納です。その際に必要なのが造作の収納、または適切な家具です」