どんなに仕事が忙しくても、わが子の将来を考えない親はいないでしょう。わが子にはどんな道を歩んでほしいと思っていますか? 海外で学んでグローバルに活躍? 日本の将来を担うリーダーに? はたまた芸術や学問をとことん極めてほしい? どのような世界に進むにせよ、これからの子どもたちに必要なのは、自主的に学び、自分の思いを相手に伝え、自ら居場所を見つけていく力です。しかも活躍の場所は国内に限らなくなるはずです。そんな将来が待っている今の子どもたちにがどんな教育が必要なのでしょうか。それには中学受験はマストなのでしょうか。この特集ではあえて、「中学受験をしないとしたら」という仮定で、現時点で子どもたちにどのような道が開けているのかを、教育の専門家、塾関係者に取材しました。

【中学受験をしない選択を考えたときの子どもの進路選び特集】
第1回 「みんな受験するから私も」では考える力が育たない ←今回はココ
第2回 小学校の学区選びは高校受験まで影響する
第3回 実はラクではない高校受験 突破力の鍵は小学生時代
第4回 本物のグローバル人材は公立中から生まれる!?
第5回 “自分はエリートだ”と子が思う環境を与えていないか

中学受験をしない場合、どんなルートがあるのか知っておこう

 首都圏の一部では中学受験が過熱しています。そんな中、「中学受験をしないとしたら」というテーマでお伝えする今特集ですが、決して“アンチ中学受験”というわけではありません。

 公立高校の大学入試への巻き返しもあり、中学受験をせずに高校受験をさせようか、やはり中学受験したほうが安心なのかと迷う家庭が首都圏でも出てきています。しかし学校説明会などが盛んな私立中と違い、公立中は自ら発信する機会が少ないため、地域の公立中のことでさえ、情報を得にくいのが現状です。中学卒業後の進路にしても、デュアラーが10代のころとは高校受験の世界は様変わりしています。

 まずは、公立中やその後の進路がどのような状況にあるのか分からなければ、いつ受験するか検討のしようもありませんね。それがこの特集を立ち上げたきっかけです。

 中学受験をする、しないに関わらず、“学びの姿勢”が身に付いている人に育ってほしいというのは、親の究極の願いです。自ら学ぶ姿勢は一生役に立ち、キャリアにつながることは、デュアラーなら皆、実感しているはず。避けては通れない受験というシステムを経験しながら、わが子を探究心のある人間に育てるにはどうしたらいいのかについても考えていきます。

 特集第1回では、公立中学に進むと子どもは何を学ぶのかについて、日本の教育事情に詳しい安田教育研究所の安田 理さんにお聞きします。また高校受験の実情について、首都圏に進学塾を展開する市進学院の高校受験指導室室長、濱砂貴真さんに話を聞いていきます。

<次のページからの内容>
● 地元のネットワークは子どもの財産
● 学校で社会の多様性を知ることは仕事でも役立つ
● 公立高校生には時間がない! だから身に付く段取り力
● 高校で勝負するなら親が思うほど“のびのび”できない
● カーリングママになっていませんか?