新卒で働き始めていたら、既に10~20年ほどたっているDUAL世代。「人生100年時代」と言われ、勤労期間は長期化しています。そんな中、「働き続けるために、どんなスキルを身につければいい?」「子育て中は思い切ったキャリアチェンジがしにくい」などと悩んでいる人は多いかもしれません。そこで今回は「キャリア」について学ぶゼミを誌面開講します。

そもそも「キャリア」をどのように考えればいいのか、日々仕事をする上で何を大事にしたらいいのかなどについて、「東京大学 本郷テックガレージ」「東京大学 FoundX」でサイドプロジェクトやスタートアップを支援し、『成功する起業家は「居場所」を選ぶ』(日経BP)などの著書がある、馬田隆明さんに話を聞きました。今回は第2回です。

DUAL Specialゼミ 馬田隆明先生/全3回
(1) 30~40代のキャリア構築は「意義」がキーワード
(2) キャリアを成功に導く「居場所」の変え方 ←今回はココ
(3) 時間を「深化・探索・ゆとり」に最適に配分せよ

適切なタイミングで適切な場所にいることが大事

日経DUAL編集部(以下、――) 第1回では、キャリアを考える際には「意義を感じる仕事かどうか」や「人とのつながり」がポイントになるという話を伺いましたが、ご著書『成功する起業家は「居場所」を選ぶ』(日経BP)の中では、「居場所」の重要性についても語っています。居場所とは、ビジネスパーソンにとってどのような意味があるのでしょうか?

馬田先生(以下、敬称略) 「居場所」または「環境」と考えるといいと思います。自分を取り巻く環境自体をコントロールすることは難しいですが、どの環境に身を置くかはある程度選択可能です。キャリアについては、“運”も影響してくると思いますが、そもそも“運”が来るような場所に身を置いておくことも大事です。言い換えれば、「適切なタイミングで適切な場所にいる」ことがキャリアを成功に導く確率を高めてくれるということです。

 一般企業に勤めている人は、所属する部署、上司や同僚、部下など、働く場所や人を選ぶことはできないと思います。でも、今の職場で手を挙げて、行きたい部署への異動を積極的に希望することはできるはずです。どうしてもそれがかなわない場合は、転職も一つの手段でしょう。

 環境とは、単なる“場”だけではありません。例えばパートナーに「将来はこういうことにチャレンジしたい」と話し、自分を追い込んでいく方法もあります。ちなみに私はインプットが好きで、アウトプットが少ないことを課題だと感じているため、文章を書くなどのアウトプットの“締め切り”を設けて、せざるを得ない状況を意識的につくるようにしています。

―― なるほど、「環境」とは場所以外にも、締め切りなども含まれるのですね。

馬田 私は、環境を「4つのP」に分けて考えています。