「共働きの家の子はかわいそう」のレッテルを貼られ、心のバランスを崩す

 人の気持ちを敏感に感じ取る子どもだったという近藤さんは、小学校2年生の2学期にも風邪をきっかけに2週間ほど学校へ行けなくなったことがあります。

 「放課後の学童クラブはとても楽しかったのですが、小学校では友達の顔色を見ながら右へ行ったり、左へ行ったり。そんな毎日に疲れていたのかもしれません。そのときも体が重い、頭が痛いといった身体的な症状が出ました」 

 体調が戻ってからは学校に通っていた近藤さんですが、小学校5年生になると学校に行ったり行かなかったりの五月雨登校が続き、1学期は半分くらい学校を休みました。その理由は、小学校3年生で楽しかった学童クラブを卒業した反動だったのではないか、近藤さんは振り返ります。

 「4年生からは学童保育に行かなくなったので、学校が終わってから親が帰宅するまで、一人で過ごす時間が長くなりました。親が仕事で家にいないことを最初は何とも思っていなかったんです。ところが、周りの人から『お父さんお母さんが家にいないとさみしいでしょう?』と聞かれるうち、もしかしたら私ってさみしい子なのかも? と思ってしまって……

 4年生になると周りの人から「共働きの家の子なんだね」と言われるようになり、自分はそういうふうにくくられるのかと感じた近藤さん。周りからそう言われることで、自分は「かわいそうな子」なのかもしれないと意識してしまう。それは近藤さんが心のバランスを崩してしまう一因になりました。