「学校へ行くのが当たり前」、親はその常識を変えよう
子どもが不登校になると、お母さんお父さん方は「子どもが学校を休んだら、ずっとこのまま家にいるのではないか」と不安でいっぱいになってしまうことと思います。
子どもが学校を休んでいることをプラスに見るか、マイナスに見るか。これは子どもにとっては大きな違いがあります。
学校を休むのはダメと決めつけられて、なんとか学校に行かせようとさせられたら、子どもは苦しみます。苦しい期間を持った子は、外の世界に出るのが苦手になります。人が怖いですし、不安があり、自分に自信を持てないからです。
アメリカやイギリスで盛んな教育方法に、ホームエデュケーションという学び方があります。学校ではなく家で学ぶやり方です。
アメリカやイギリスでは1980年代にはホームエデュケーションの考え方が浸透していましたが、その頃の日本はまだ「学校に行けない自分はダメな子だ」「うちの子は学校に行かずに引きこもっている」、そういった時代でした。そのころから、私たちは世界の教育事情の調査を行い、そのときの経験をもとに、東京シューレでは1993年に家庭で学ぶ『ホームシューレ』を立ち上げました。
私たち親の世代は、学校へ行くのが当たり前という価値観の中で育ってきました。その常識のせいで苦しんだ人もいるのではないでしょうか。今こそ、その常識を変えるときです。そうしないと子どもの気持ちに寄り添うことは難しくなります。親が学校に行くことにこだわっている間に、子どもは自信をなくし、自己肯定感を失っていきます。それは悪循環にしかなりません。
学校へ行くことだけが学びの手段ではありません。学び方は多様です。育ち方も学び方も人それぞれでいいのです。
NPO法人東京シューレ理事長
(取材・文/小山まゆみ 構成/日経DUAL編集部 福本千秋 撮影/花井智子)