親の関わり方、声かけも子どもの気力を左右する

 登っているときの、親の関わり方や声掛けも大切です。もし子どもの気力が下がってきたら、「じゃあ次の曲がり角まで肩車したら元気出る?」というのもありです。ただ、山道では、安全のためには親も両手が空いたほうがいいので、なるべく抱っこやおんぶにならないよう、子どもが歩ける範囲で帰って来られるようペース配分をしてあげたほうがいいですね。普段から一緒に遊んでいれば、子どもの体力がどれくらい持つかも大体想像できると思います。たまにおでこを触って体温を確認するとか、おしっこの回数が極端に減っていないか、などは気にかけてあげてください。

 高尾山に行けば、普段はなかなか見られない、動物や昆虫、植物や樹木などを目にすることもできます。マニアもわざわざ来るぐらいの、シダ・コケ類の宝庫でもあります。頂上に着いたら、ビジターセンターの人に「今の時期は、帰り道にどういう自然に注目すると面白いですか?」と親子で聞いてみるのも、とてもよい経験です。目的のものを探しながら歩くと、また元気も出てくると思います。

意外と忘れがちな持ち物とは?

持っていきたいもの
□食べ物と飲み物
□絆創膏などのファーストエイドセット
□あれば常備薬
□保険証
□タオル
□着替え
□汚れものを入れるビニール袋
□懐中電灯
□雨具
□現金

 持ち物ですが、ちょっとした擦り傷などのけがに備えて、絆創膏などのファーストエイドセットがあると安心です。万が一のために、保険証も持参しましょう。寒い時期でも山登りしたら汗をかきますし、前の日に雨でも降っていたらドロドロにもなりますので、タオルと着替えも必須です。着替えがあれば、親は大らかな気持ちになれます。忘れてはいけないのが、それらの汚れ物を入れるビニール袋。あと、もしかして何かあって遅れたときのために懐中電灯かヘッドライトもあるといいでしょう。

 意外と忘れがちなのが「現金」です。高尾山のような目的地では、飲み物や食べ物を忘れても売っています。自販機もあります。でも現金がないと買えません。

プロジェクトの締めくくりはアウトプット

 そして、最後に、プロジェクト型遊びに欠かせないことがあります。帰ったら必ず、その体験をアウトプットしてください。アウトプットすることで頭の中が整理され、単なる体験が「経験」に変わって蓄積されます。まずは親子で会話しましょう。「アイスおいしかったねー」でもいいですね。そして、絵でも、歌でも、踊りでも、作文でも構わないので、その体験を形にしてください。ここまでで一つのプロジェクトです。

(写真提供:長谷部雅一)
(写真提供:長谷部雅一)

(取材・文/日経DUAL編集部 小林浩子)

長谷部 雅一(はせべ まさかず)
有限会社ビーネイチャー取締役。1977年生まれ、埼玉県出身。
2000年から2001年にかけて世界一周の旅を敢行。東京都内などの保育園や幼稚園などで自然体験を通じてボディーバランス、感性、社会性などを育むネイチャープログラムを実施している。アウトドアイベントの企画・運営、研修講師、自然ガイドなども務める。
著書は『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など。
5歳児のパパでもある。