1日がかりの自然体験といっても、子どもが主体の遊びであることは変わりません。これまでの連載で紹介したポイントを踏まえていけば、楽しめるのではないでしょうか。

目指せネイチャーパパ! 6つのポイントを復習
・ 「せっかく◯◯してあげようと思ったのに」は子どもにとっていい迷惑かも
・ まずは自分の子どもに興味を持ち、子どもを観察することから始める
・ パパも少しだけ「子ども目線」にモードを切り替え、子どものやりたいことを基本にしながら、一緒に遊びの内容を広げてあげる
・ 知らないことは一緒に調べてみる(アナログがベター)
・ 先入観を植え付けないこと。真っさらな状態であれば、子どもは虫などの自然に対して、様々な感情を抱く可能性がある
・ 「すみっこ」や「はしっこ」にこそ、自然は息づいている

 あくまでも「親子の遊び」として行くことをおすすめします。夜遅くなって危なくなる、雨が降ってきそう、などの危険さえ避けられれば、思い切って子ども主体で1日を過ごしてみるのがいいと思います。

「自分は歩きたい」という気持ちを強くするためには、準備が大事

 子どもの場合、その距離を歩けるか、歩けないかは、子どものやる気があるかどうかによっても左右されます。つまり「自分は歩きたい」という気持ちがあるかどうかが重要です。子どもは気持ちと体がつながっているので、気持ちが切れると、ガクッとペースが落ちて「お腹痛い」とかいい出します。

 当日のその場の雰囲気も関係しますが、実は、プロジェクトの準備段階も大きく影響します。準備段階から主体的に関わっていれば、「自分は歩きたい」という気持ちは強くなるはずです。極端な話、「頂上の売店でアイスクリームを食べたいから歩く」でもいいんですよ。

 準備段階の第一歩は、地図を親子で見ること。紙の地図がベターですが、最初はウェブでも構いません。「高尾山ってこういうところなんだっって」「道がいっぱいあるね」「どの道を行くか、一緒に選ぼう」から始まりますよね。高尾山には様々なコースがあります。「この道は、沢沿いなんだって」「沢って何?」「沢って何か調べてみよう」という会話も始まるかもしれません。「こっちはちょっと急な坂があるんだって。でもこの道を行けば、吊り橋を渡れるんだって」という会話になるかもしれません。

 高尾山は天狗が有名で、色々なところで天狗の像が見られます。前もって図書館で天狗の絵本を借りて読んでおくのもおすすめです。これがきっかけでひらがなの勉強が始まるのもありですよね。

 「ここから、富士山が見えるんだって」「見たい!」「見やすい方法はあるかな」「じゃあ双眼鏡を買いに行ってみよう」でもいいです。

おやつの配分を自分で決めるのもいい勉強になる

 プロジェクト型にすると、持ち物などの準備にも主体的に関われるのがメリットです。「持ち物はどうする?」「パパはこのリュックにしようかな?」「自分で荷物つめる!」というのも自分のことは自分でする「生きる力」を育むことになります。お弁当はどうするのか、パパが作るのか、ママが作るのか、どこかで買うのか決めるのも楽しいですよね。

 飲み物やおやつは事前に一緒に買いに行き、当日は子どもに自分の分を持たせて、食べる配分を自分で決めさせるのもいい勉強になります。最初に全部食べちゃって「ほら、なくなった」ということになるかもしれません。そうなってしまったら、この日は「例外」ということで特別に親の分を分けてあげるのもありだと思います。でも、子どもは意外と、山登りという特別な場であると感じて、「これは死活問題だ」と認識し、結構真剣に考えて配分しますよ。

 こんなふうに、プロジェクト化して、何回かに分けて準備してから本番を迎えると、子どもの気持ちも盛り上がります。