虫眼鏡も持っていると楽しいアイテムです。数千円もする、いい虫眼鏡である必要はなく、100円均一のもので十分です。理由は虫籠と同じです。未就学児の場合は「拡大する」という実際の作業よりも、虫眼鏡があることで、キョロキョロせず、その対象に集中できる、という効果が期待できます。集中することで、自分で発見できるものが増える可能性がありますので、持たせてあげるといいと思います。

虫が死んでしまったら?

 さて、捕った虫はどうしましょうか。「また来ようね」とリリースするのが一つの選択肢です。ただ、子どもは持って帰りたがることもあります。子どもが興味を持っているなら、飼ってみるのも一つの選択肢です。家で飼うにはどうすればいいか一緒に考えます。基本の考え方は、その虫が捕れた場所と同じ環境を家でも作ってあげること。草むらにいたのなら、そこにある草を虫籠の中に敷き詰め、定期的に草を替えてあげます。ただ、やはり虫捕りで持ってかえってきた虫は、それほど長生きできないことが多いです。子どもの虫の扱いが乱暴で、人間でいうと肋骨を折られたぐらいのダメージを受けていることも少なくありません。

 それぞれの家庭の方針だと思いますが、虫が死んでしまったら、わが家の場合は、この機会を「学び」に変えています。目の前で殺そうとしていたらもちろん止めますが、もしことが起きてしまったら、「口から液体を出してヒクヒクしていたから、もしかしたらここを強く握り過ぎてしまったのかもしれない」などと子どもと話し合い、振り返ります。わざとじゃないけど、なぜそうなってしまったのか。命について、一緒に考えるよい機会だと思います。自分自身も幼いころ、さんざん色々やって感じるところがありました。この体験があるのとないのでは、その後の人生に大きな違いが出てくると思います

(取材・文/日経DUAL編集部 小林浩子)

長谷部 雅一(はせべ まさかず)
有限会社ビーネイチャー取締役。1977年生まれ、埼玉県出身。
2000年から2001年にかけて世界一周の旅を敢行。東京都内などの保育園や幼稚園などで自然体験を通じてボディーバランス、感性、社会性などを育むネイチャープログラムを実施している。アウトドアイベントの企画・運営、研修講師、自然ガイドなども務める。
著書は『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)など。
5歳児のパパでもある。