塾や習い事など、高学年の子どもはひとりで行動することも増えてきます。時間管理のために子どもにいつ・どんな時計を持たせればいいのか…。そんな、悩めるDUAL世代のニーズに刺さり、静かにヒットをしている小学校高学年向けの本格的ソーラーウオッチ「スクールタイム」。販売店からは「今までになかった商品のため期待の声が大きい」「受験シーズン本番の需要に期待ができる」という声が聞こえます。
前回は開発担当者の受験時の苦い経験を紹介しました。今回は、デザインの取り組みを紹介します。

年代を考慮し文字盤のサイズは男女で統一した

 「スクールタイム」のデザインを担当する、セイコーウオッチデザイン部の伊東絢人さんが最初に着手したのは、文字盤のサイズを決めることでした。これまで腕時計を着ける習慣がなかった子どもたちが初めて身に着けることになるわけです。大きすぎると違和感が先に立って腕に巻くことを嫌がるかもしれない。他方、小さすぎれば、視認性がそがれて「誰でも見やすい」という命題から逸してしまうことになる。今後、子どもたちにとってのよき相棒になれるかの最初の分かれ道になる大事なポイントというわけです。

 まず、男女でサイズを分けるかどうかが議題に上りました。だが、「小学校高学年から中学入学後には、まだ男女で身体差が出にくいという理由からサイズ感は統一することを決めました」。そのうえで子どもの腕になじみやすいことを最優先するという命題のもと、30、32、33……と、数ミリ単位で複数案が持ち上がったといいます。そこで、社員の子どもたちに協力を募りました。中学受験を経験したターゲット層の年齢の子にアンケートを実施したのです。その結果、最も着けやすいという意見が多かった31.5ミリに決まりました。

セイコーウオッチデザイン部の伊東絢人さん
セイコーウオッチデザイン部の伊東絢人さん