ありそうでなかった“甘口のカレーパウダー”

 新商品の形態を決めるに当たり、ペースト状にするか、パウダー状にするかを検討した際には、ペースト状のほうが深い味わいを出せるのではないかとの意見もあった。だが、「ペースト状だといためものを作る時に全体に伸ばしながら溶かすのが面倒」「パウダー状のほうが手軽に色々な使い方ができる」というお母さんたちの声から、今回はさっと振りかけて使えるパウダー状にする案が採用された。

 「ペースト状は全体に伸ばすのが面倒など、時短勤務をする前の会議の席では『そういうものか』と思いながら聞いていた話も、実際に平日の慌ただしさの中で夕食を作ってみたことで『なるほどな』とふに落ちるようになりました

 味付けを決めるに当たっては、ハウス食品の人気商品であり、未就学児や小学生がいる家庭に広く支持されている『バーモントカレー』に着目。さっと振りかければ、それだけで「いつも食べているバーモントカレーの味になる」というカレーパウダーを開発し、商品名にも「バーモントカレー味」という言葉を盛り込んだ。

 振りかけるだけで、どんな料理も子どもが好む甘口のカレー味にできる。ありそうでなかった味付カレーパウダーは、試作段階から「これ1本で簡単に味付けができる」「バーモントカレーと同じ味なので、これをかけると子どもが苦手な野菜も食べてくれる」とお母さんたちに好評を博し、2019年2月の発売以降は順調に売り上げを伸ばしている。黒部さん宅でも、「味付カレーパウダー バーモントカレー味」を使って作るカレーチャーハン、豚肉ともやしのいためものが娘たちのお気に入りだそうだ。

ハウス食品 新領域開発部 3グループ グループ長の黒部史明さん
ハウス食品 新領域開発部 3グループ グループ長の黒部史明さん