学級崩壊、低学年の暴力、不登校、小1プロブレムなど、小学校には様々な問題があります。そうした問題に直面した場合、親はどうしたらいいのでしょうか。28年間小学校教員として勤務し、学級崩壊や小1プロブレムなどの現場に詳しい白梅学園大学子ども学部子ども学科教授の増田修治さんに聞きます。今回は、仲良しグループで群れて排他的になる「ギャングエイジ」と呼ばれる3~4年生の特徴や、その時期に親が気を付けたいこと、「小4の壁」などについてお伝えします。

「小4の壁」をどう超えるのか

 4年生になると、学校の勉強が急に難しくなります。この時期につまずく子どもが多いため、「小4の壁」「10歳の壁」などと呼ばれています。

 これまでの連載で、増田さんは「子どもたち自身が勉強を『面白い』と感じることが大事です」と伝えてきました。その効果が生かされてくるのは、特に小学4年生以降といいます。「4年生以降の学習には、抽象的な概念が出てきます。例えば、面積、億、兆といった概念を理解するには、想像力が必要になります」

 「小4の壁」でつまずかないためには、どうすればいいのでしょう。常日頃から「どうして?」「なぜ?」という疑問を持つこと、「勉強は役に立つ」「勉強は楽しい」と思う経験を積み重ねることが大切だと増田さんは指摘します。

 「具体から抽象へのステップを一段一段丁寧に登らせていけば、その過程で『勉強って面白い』と子どもは思えますし、子どもの本当の力になります。例えば、以前の記事で触れましたが、『いつも遊んでいる砂場の砂100gには何gの砂鉄が含まれているか?』などの身近な質問を自分で考えさせるところから始めて、段階を踏み、地球のN極、S極という見たことのないところまで想像を広げていきます」

 「子どもたちに『勉強の楽しさ』をどれくらい教えられるか、が大事なポイントになります」。これは、学級崩壊にも関係するキーワードです。

 「通常であれば、1~2年生で『座って授業を聞く』『先生が黒板に書いた字をきちんと写す』『宿題をやってくる』などの基本的な生活習慣や学習習慣を身に付けます。ところが、1~2年生で学級崩壊すると、それらの習慣が身に付かないまま中学年に上がることになります」

4年生以降の学習には、抽象的な概念が出てきて、想像力が必要になる
4年生以降の学習には、抽象的な概念が出てきて、想像力が必要になる