学級崩壊、低学年の暴力、不登校、小1プロブレムなど、小学校には様々な問題があります。そうした問題に直面した場合、親はどうしたらいいのでしょうか。28年間小学校教員として勤務し、学級崩壊や小1プロブレムなどの現場に詳しい白梅学園大学子ども学部子ども学科教授の増田修治さんに聞きます。2回目のテーマは「学級崩壊」です。

低学年は未熟さゆえ、高学年はストレスも

 「学級崩壊は、学年や公立・私立を問わずに発生しています」と増田さん。増田さんは、様々な学校を回り、学級崩壊の立て直しに奔走してきました。学級崩壊とは、「学級が集団教育の機能を果たせなくなってしまう状態」のこと。子どもが先生の指示を聞かない、授業中に勝手に立ち歩く、遊んでいる、教室から出て行って授業を受けない、などの状態です。

 「低学年の場合は、授業中に立ち歩いたり、先生にかまってほしくて授業妨害したりと、未熟さが原因の勝手な言動が連鎖的に広がって学級崩壊していくことが多い。特徴的なのは、甘えたい子が多いことです。高学年の場合は、ストレスを発散するように確信犯的に荒れるケースが見られます。今の子は、毎日忙しいうえ、常に評価にさらされている。中学受験の塾の勉強などで、常に競争的な状況に置かれ、ものすごいストレスを感じている場合が多いのです」

あいつも守ってない、だから俺も守らない

 学級崩壊が起こる原因は複数ありますが、そのひとつを増田さんはこう説明します。「『あいつも決まりを守ってない、だから俺も守らなくていいでしょ』という考え方です。こんな研究結果があります。学級崩壊をしているクラスの子どもたちと、崩壊していないクラスの子どもたちを比べると、規範意識は変わらない。違いが出たのは『他者に対する規範意識』です。つまり、学級崩壊するクラスの子どもは、周囲の子が決まりを守っていないことを認識していて、だから自分も守る必要はないと思っている。『赤信号、みんなで渡れば怖くない』という状態になっているのです

 そうならないように、親ができることはあるのでしょうか。

「学級崩壊は、学年や公立・私立を問わずに発生しています」と増田さん
「学級崩壊は、学年や公立・私立を問わずに発生しています」と増田さん