新しいものを生み出すリスクから逃げる大人たち

 日本って、決められたレールに従えば受け身でも成功体験が得られてしまった、珍しい国ではないでしょうか。大抵の国は経済難とか社会を揺さぶる大きな出来事があって、受け身だなんて言っていられず、みんな百花繚乱で頑張るものだけど。ただ、これからはそういう時代になっていくだろうね。

 今は東大がゴール、官僚がゴールみたいな考え方ではさすがに生きていけません。そんなものはそもそもパイが小さいし、昔みたいに経済が拡大していく中でみんなに割り当てがあるわけではないから、出世コースを目指しても脱落する確率が高いです。

 日本の社会にはこれまで「幅を持とう」という機運がなかったけれど、これからは新しいものを生み出さなければいけないということはみんな分かっていると思います。でも、「オレはやりたくない」って大人がみんなリスクを負うことから逃げてしまっている。日本社会はそれで結局自分の首を絞める傾向があるので、これからの時代を生きる子どもたちは、そこにとらわれないようにする力を身に付けていくしかないかもしれません。

 発想がしばられないようにするためには、爆発して外に飛び出す力が必要です。あとは、未知の価値観にあえて突入してみるとかね。

 子どもには安定した道を歩んでほしいと思ってしまうのが親心かもしれませんが、これからの時代、親は子どもの生き方を保証しないほうがいいと思います。今勉強していることや身に付けたスキルが、10年後は役に立たなくなる可能性が高いですからね。だから一番いいのは、体力と知力を柔軟に磨くこと。子どものうちに、絵を描いたり、運動したり、旅に出たりして、人間としての力を身に付けたほうがいいと思います。

「子どもたちは、かつての日本にあった『受け身の成功体験』にとらわれない力を身に付けたほうがいいでしょう」
「子どもたちは、かつての日本にあった『受け身の成功体験』にとらわれない力を身に付けたほうがいいでしょう」