子連れ旅行には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出かけ先が分からない。そもそも泊まりで出かける余裕がない――。

 そんなDUAL世代にピッタリなのが、「半日旅」という旅のスタイル。『東京発 半日旅』(ワニブックス)の筆者で旅行作家の吉田友和さんは、思い立った瞬間にでも出かけて、半日くらいで帰ってこられる、そんなお手軽で気まぐれな旅を「半日旅」と定義しました。この連載は、そこに“子連れ”という要素を加え、DUAL世代もすぐにでも出かけたくなるような旅ルポをご紹介します。

 今回のテーマは「“小江戸”川越クラフト体験&観光」です。工作好きの長女とガラス細工作りのクラフト体験をした上編に続き、下編は川越の街を散策します。

半日旅について語った、吉田さんの過去インタビューはこちら
気ままに楽しむ「東京発“子連れ”半日旅」の魅力
“子連れ半日旅”はハプニングも思い出に

「東京発“子連れ”半日旅」の3箇条
●旅先は子連れで訪れることが可能な場所であること
●夕食は自宅で取ることができるくらいのスケジュール感であること
●テーマパークなど人が多く集まる場所は基本的には行かないこと

子ども向けのランチスポットとしてパンケーキ専門店をチョイス

 今回は小江戸・川越を訪れる半日旅。上編では、ガラス工房にお邪魔して、親子でキャンドルやグラス作りを行った模様をレポートした。(自分たちとしては)立派な芸術作品に仕上がったという満足感に包まれながら、次に向かったのはランチスポットだ。

 旅先では、できればその地の名物と呼べる料理を味わいたい――その気持ちは自分も強いが、小さな子ども連れとなるとそう思い通りにはいかなかったりする。特に難関なのが、観光客に人気がある有名店だ。そういう店は予約が不可だったり、混雑していたりするもの。大人だけなら多少並んででも入るのだが、子どもはそんなに待っていられないことがほとんどだ。

 理想を言えば、それほど混んでいなくて、スペース的にも余裕のある店がベスト。ストレスは可能な限り減らしたいという発想が根底にある。

 料理の内容も気になるところだ。子どもでも食べられるメニューがあるかどうか。キッズメニューがあれば言うことはないが、そこまでぜいたくは言わない。しかし、コース料理のような大人向けの内容はハードルが高い。

 以上のような点を考慮し、この日のランチはパンケーキ専門店を選んだ。歴史の風情漂う観光地だけあって、川越の食事処となるとやはり和食系の店が主体のようで、名物料理としてはウナギなども知られる。そんな中、あえて名物にはこだわらず、パンケーキ屋をチョイスしたわけだ。

 訪れたのは「cafe Matilda(カフェマチルダ)」というお店。川越観光のメーンストリートである一番街からはやや離れているが、子連れでも歩いて行ける。人混みを避けられるのでかえってありがたい。

 ここはパンケーキといっても、ランチメニューも充実しているのが特徴だ。サラダやベーコンなどが一つのプレートになったランチセットを注文。薄く焼かれたパンケーキが絶品だった。

 わが家は外食する機会が割と多いせいか、レストランなどへ来ると長女は一丁前に自分でメニューを指さし、注文する。長女が「お子様パンケーキ」を選ぶと、店員さんが「飲み物はどうしますか?」と彼女に直接尋ねた。

 「りんごジュースにしようか?」と横から僕が助け船を出すと、「イヤッ、アップルジュースがいい!」と大真面目に答えたので、思わずその店員さんと顔を見合わせて笑ってしまった。

 パンケーキならば、きっと子どもも大喜びだろうという読みがあったのだが、最初にりんご……もといアップルジュースを飲み干しておなかいっぱいになったのか、肝心のパンケーキを持て余し気味になってしまったのは親としても反省点だ。

食べる前に一気飲みしてはいけない?
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