ザリガニ4匹を次々に釣り上げた…のは妻

 「竿、ちょっと貸して」

 釣れていない僕に、反対する理由はない。おとなしく竿を手渡すと、あれよあれよという間に、ザリガニをどんどん釣り上げていくではないか! もうこうなっては僕の出番はない。妻がひたすら釣る横で、僕は網を構えてサポートする。

二種類ある餌は、明らかにさきいかのほうが人気だった。
二種類ある餌は、明らかにさきいかのほうが人気だった。

 結局、30分ほどのチャレンジでザリガニ4匹の釣果。そのすべてを妻が釣った。さすがガチ勢。ザリガニ名人はママだった、というオチがついたのだった。

 一度は興味を失いかけていた長女も、釣れるとなると気になるようで再度竿を手に取ったり、かかったザリガニを一緒に網ですくったりして楽しんでいた。

 釣ったザリガニはすべて元の場所に放して帰路に就いた。

 「“ザリガミさん”にバイバイしよう」

 そう言うと、長女は名残惜しそうにしていた。釣った後にバケツの前にしゃがみ込み、ザリガニたちに話しかけるようにして顔を近付けていたのが印象的だった。彼女なりに何か得るものがあったに違いない、と思うと、来てよかったなあとしみじみ思う。存在感を示したのは、父親よりも母親だったのだけれど。

【今回の行程】
■行き

09:10 新宿駅発 → 10:02 久喜駅着(JR湘南新宿ライン)
10:14 久喜駅発 → 10:25 加須駅着(東武伊勢崎線。最初にさいたま水族館に行くなら10:33 羽生駅へ)

■帰り

16:18 羽生駅発 → 16:36 久喜駅着(東武伊勢崎線)
16:54 久喜駅発 → 17:48 新宿駅着(JR湘南新宿ライン)

※2018年6月現在、土曜のダイヤ。羽生駅東口から羽生水郷公園までは無料直通バスが運行。土日中心で、おおよそ1時間に1本程度。時刻表はこちら。車で行く場合は東北自動車道 羽生I.C.から約3㎞

吉田友和
旅行作家
吉田友和 1976年千葉県生まれ。出版社勤務を経て、2002年、初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年より旅行作家として本格的に活動を開始。国内外を旅しながら執筆活動を行い、短期旅行を中心に、ここ数年は“半日旅”にも力を入れている。著書は『3日もあれば海外旅行』『10日もあれば世界一周』(共に光文社新書)、『思い立ったが絶景』(朝日新書)や自身をモデルとしてドラマ化もされた『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬社文庫)など多数。近著は『東京発 半日旅』(ワニブックス)。