子連れ旅行には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出かけ先が分からない。そもそも泊まりで出かける余裕がない――。

 そんなDUAL世代にピッタリなのが、「半日旅」という旅のスタイル。『東京発 半日旅』(ワニブックス)の著者で旅行作家の吉田友和さんは、思い立った瞬間にでも出かけて、半日くらいで帰ってこられる、そんなお手軽で気まぐれな旅を「半日旅」と定義しました。この連載は、そこに“子連れ”という要素を加え、DUAL世代もすぐにでも出かけたくなるような旅ルポをご紹介します。

 第3回のテーマは「水族館&ザリガニ釣り」です。

半日旅について語った、吉田さんの過去インタビューはこちら
気ままに楽しむ「東京発“子連れ”半日旅」の魅力
“子連れ半日旅”はハプニングも思い出に

「東京発“子連れ”半日旅」の3箇条
●旅先は子連れで訪れることが可能な場所であること
●夕食は自宅で取ることができるくらいのスケジュール感であること
●テーマパークなど人が多く集まる場所は基本的には行かないこと

雨の日でも生き物と触れ合える「水族館」の魅力

 雨の多い季節になると、悩ましいのが子どもとのお出かけ先をどうするかだ。公園で遊ばせるわけにはいかないし、かといって一日中家にいてもフラストレーションがたまる。仕方がないので、屋内系スポットを目指すことになるのだが、晴れの日と比べると選択肢が限られるのは確かだ。

 できれば体を動かせるようなところがいいなあと思い、以前、とある有名なアミューズメント系の施設へ行ったことがある。「雨の日でも楽しめる」ことをウリにしており、大小様々な遊具が置かれていたが、正直なところあまり満足できなかった。混雑していて、なかなか自分たちのペースで遊ぶことができない。それでいて料金が案外お高めなので、「むむむ」とひるんでしまったのだ。

 屋内だから自然に触れるのは難しいとしても、もう少し伸び伸びと楽しめる場所がいい。そこで思いついたのが水族館だ。水族館なら雨の日でも大丈夫だし、リアルな生き物に触れ合える。長女が最近、以前にも増して“おさかな”に興味が出てきたようなので、いい機会だと思い半日旅で行ってみることにしたのだった。

 子連れでの水族館へのお出かけとしては、以前にも葛西臨海水族園やしながわ水族館へ行ったことがある。いずれも楽しく、満足だったが、雨の日となると大手の水族館などは混雑必至だろう。それに都心から近過ぎたので、次はもう少し旅気分が味わえて、人が少ない穴場を探したいと思っていた。知る人ぞ知る水族館のようなところだとなおいい。

 長女はまだ2歳と小さいので、大きな施設よりも、むしろこぢんまりとしたところのほうがとっつきやすかったりもする。事実、前に水族館へ行ったときもサメやマンボウのような大物よりもクマノミやチンアナゴといった小さな魚たちのほうが、食いつきがよかった。

 そんなわけで、どこかいいところはないかな――と早速リサーチ。狙いを定めたのが、「さいたま水族館」である。所在地は埼玉県羽生市と、都心からの半日旅としては近くもなく遠くもなく、手ごろな距離にある。

 首都圏近郊の水族館は子どもが生まれる前からあちこち訪れていて、ほぼ制覇した気になっていたが、ここはノーチェックだった。淡水魚だけを集めているという珍しい水族館で、荒川に生息する魚を中心に展示しているという。

 今回も一家4人でのお出かけだ。出発したのは梅雨真っ盛りの6月中旬のこと。雨のち曇りの天気予報が流れる中、北上して埼玉へと向かったのだった。