加須といえば「うどん」じゃないか!

 さいたま水族館のサイトをチェックすると、最寄り駅は加須駅あるいは羽生駅と書いてある。いずれも東武伊勢崎線の沿線になるが、都心から行くなら加須駅のほうが若干近い。

 「おおっ、加須なのね!」

 そのことを知って、僕は目を輝かせた。実は羽生と聞いても個人的に縁がなく、あまりピンとこなかったのだが、加須ならばよく知っているからだ。

 加須といえば、うどんである。実は埼玉県はうどんの生産量が全国2位(1位はもちろん香川県)で、関東屈指の“うどん県”といわれている。中でもメッカとされるのがここ、加須なのだ。

 市内には数多くのうどん専門店が軒を連ねており、「加須うどん」として名物になっている。麺好きな旅人としては大変気になる街の一つで、前にも何度かうどんの食べ歩きをしに来たことがあった。妻も「うどんなら、子どもも食べやすいよね」と乗り気である。半日旅のお昼ごはんにはちょうどいい。そんなわけで、水族館へ行くついでにうどんを食べていくことにした。

 子連れで外食するときには、どうしても色々と気を使う。世の中、キッズフレンドリーな店ばかりではないから、ある程度の下調べは必要だ。まず、狭い店はなるべく避けたい。小上がりのようなスペースがある店だとくつろげるが、逆に子どもが暴れ回ってしまう懸念もある。テーブル席に子ども用椅子というパターンが、案外落ち着いて食事できたりもする。

 子どもが大騒ぎすると他のお客さんの迷惑になるため、可能であれば混雑する時間帯は避けるのが得策だろう。そんなわけで、お目当てのうどん屋さんが開店する午前11時に合わせる形で、まずは加須を訪れたのだった。

 「加須手打うどん会」によると、加須市内でうどんを提供している店舗は約40店あるという。店によっても異なるが、ポピュラーなのはいわゆる「もりうどん(ざるうどん)」だ。セイロに盛られた冷たいうどんを、つけ汁につけて食べる。

 また、加須うどんを語るうえで外せないのは「冷や汁うどん」だろう。これはつけ汁が胡麻味噌味に代わったもので、甘口の味付けがクセになる。他ではあまり見かけない、この地ならではのメニューといえる。

 「どちらもおいしいけど、冷や汁うどんが絶品かも!」

 試しに普通のもりうどんと、冷や汁うどんを両方頼んでみたのだが、妻は冷や汁うどんにハマったようだった。もちろん、うどんの麺自体も手打ちだけあって食べ応えがある。コシが強く、喉ごしがいい。ツルツルで、シコシコだ。

 今回は「久下屋脩兵衛」というお店にお邪魔した。ほかにも「子亀」「登治うどん」といったお店もオススメだ。

 ちなみに、2歳9カ月の長女にはかけうどんを注文した。子どもなら、冷たい麺よりもこちらのほうが食べやすいようだ。

 外食時にうどんというパターンはわが家ではたまにあるのだが、そのままだと麺が長過ぎるので、以前はハサミ型のフードカッターで細かくしてから子どもに食べさせていた(最近は切らずとも食べられるようになった)。チョキチョキ切るだけと簡単なので、幼児連れの半日旅では特に使い勝手のいいアイテムだ。

 食事を終えたころには正午を過ぎていた。混雑してきた店を後にし、いよいよ本日の目的地さいたま水族館へ向かう。おなかが満たされたおかげで、娘の機嫌はすこぶるいい。なんだか分かりやすいのだが、テンションが高いうちに繰り出したほうがいいだろう。

 食べたらすぐに移動する。これも子連れ半日旅のコツの一つだ。