ちくわ作りに熱中する長女

 父が自分の不器用さに意気消沈する一方で、娘はかまぼこ作りを意外に楽しんでいるようだった。たとえ変な形になったとしても、気にすることなく果敢に挑んでいる。その前向きな取り組みようからは、センスの片りんを感じられた。

 次に挑戦したちくわ作りでは、そのことをさらに実感させられた。こちらは板の上ではなく、棒の周りにすり身を固めていく。なるほど、こうすることで真ん中に穴が空いた、いかにもちくわらしい形に仕上がるというわけだ。

 材料自体は同じものだが、ちくわ作りではヘラは使わずに、手でぎゅっぎゅっと握りしめるようにして形を整えていく。かまぼこ作りよりも作業の難易度は低いように思えた。

 ぐにゃぐにゃしたすり身を手で直接触っていると、まるでねんど遊びをしているような気分になってくる。娘にとってはおなじみの作業であるわけだが、ねんどとは違い、自分たちの口に入る本物の食べ物だからか、彼女の表情は真剣そのものだ。

 「そろそろ、完成でいいんじゃない?」

 いい感じに出来上がったタイミングを見計らって声を掛けたら、いや、もう少しやるんだといってなかなか切り上げようとせず、その集中力に驚かされた。この際、気が済むまでやらせたほうがいいだろう。

 子どもが集中して何かに取り組んでいるときは、できる限り中断させずに最後までやらせるのがわが家の方針だ。子どもにしてみても、夢中になっていることをやめさせられるのは納得がいかないだろう。むしろ、最後までやり遂げられたときの「できた!」という達成感が成長につながる気がする。

蒸したり、焼いたりして出来上がり

 出来上がったかまぼことちくわは、スタッフに渡してそれぞれ専用の器具で仕上げの作業を行ってもらう。かまぼこは蒸し上がるまでに約70分かかるが、ちくわは15分ほどで焼き上がる。なので、その場ではでき上がりの早いちくわを味わい、かまぼこはお土産として持って帰るという段取りになっている。料理体験なのに、作ってすぐに食べられないとなるとやはり盛り上がらないから、かまぼこだけではなくちくわも一緒に作るというわけだ。