子連れ旅行には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出掛け先が分からない。そもそも泊まりで出掛ける余裕がない――。

そんなDUAL世代にピッタリなのが、「半日旅」という旅のスタイル。『東京発 半日旅』(ワニブックス)の筆者で旅行作家の吉田友和さんは、思い立った瞬間にでも出掛けて、半日くらいで帰ってこられる、そんなお手軽で気まぐれな旅を「半日旅」と定義しました。この連載は、そこに“子連れ”という要素を加え、DUAL世代もすぐにでも出掛けたくなるような旅ルポをご紹介します。

今回のテーマは「かまぼこ作り&小田原城子ども遊園地」です。

半日旅について語った、吉田さんの過去インタビューはこちら
気ままに楽しむ「東京発“子連れ”半日旅」の魅力
“子連れ半日旅”はハプニングも思い出に

好き嫌いの激しい長女がかまぼこだけはバクバク

 かまぼこ作りの旅を思い立ったきっかけは、正月のおせち料理だった。食べ物の好き嫌いが激しい長女が「かまぼこ、おいしいね~」と、他の料理には目もくれず、かまぼこばかりバクバク食べる姿が印象に残ったのだ。

 腕を振るったママからすれば、栗きんとんやだて巻きといった自作したおせち料理ではなく、買ってきたかまぼこが一番人気というのはいささか不本意かもしれないが、ふに落ちるものはあった。私自身も子どもの頃、同じくかまぼこが大好物だったからだ。きっと、子どもの味覚に訴える魅力があるのだろう。

 かまぼこについて調べてみると、小田原に「かまぼこ博物館」なる施設があることが分かった。運営するのはかまぼこ販売では老舗の「鈴廣」だ。日本の伝統食であるかまぼこの歴史や不思議について学べるだけでなく、職人さんの手ほどきを受けながら実際にかまぼこ作りを体験できるというので興味を覚えた。

 「かまぼこ作りに行ってみない?」

 娘にこう提案してみると、案の定、目を輝かせて食いついてきた。この手の料理系アクティビティーは、彼女の大のお気に入りなのだ。最近は自宅でおにぎり作りやピザ作りなどを母娘で楽しんでいたりもする。

 親としても、行き先が小田原というところに引かれるものがあった。都内から近過ぎず、遠過ぎずで半日旅には程よい距離だし、城下町の風情が漂い、観光気分に浸れるのも魅力だ。

 公式HPから予約できるが、見てみると近々の日程は空きが少ない。特に週末は混雑しており、各回40名もの定員数が埋まっている日もあるようだった。工場見学は近年ちょっとしたブームで、人気施設は予約が取りにくくなっている。計画は早めに立てたほうがよさそうだ。

レストランや土産物屋などが集まる「鈴廣かまぼこの里」。博物館はその中の施設の一つ
レストランや土産物屋などが集まる「鈴廣かまぼこの里」。博物館はその中の施設の一つ