子連れ旅には行きたいけれど、子どもも楽しめるお出掛け先が分からない。そもそも泊まりで出掛ける余裕がない――。

 そんなDUAL世代にピッタリなのが、「半日旅」という旅のスタイル。『東京発 半日旅』(ワニブックス)の筆者で旅行作家の吉田友和さんは、思い立った瞬間にでも出掛けて、半日くらいで帰ってこられる、そんなお手軽で気まぐれな旅を「半日旅」と定義しました。この連載は、そこに“子連れ”という要素を加え、DUAL世代もすぐにでも出掛けたくなるような旅ルポをご紹介します。

 今回のテーマは「公園遊び&たき火」です。

半日旅について語った、吉田さんの過去インタビューはこちら
気ままに楽しむ「東京発“子連れ”半日旅」の魅力
“子連れ半日旅”はハプニングも思い出に

たき火で焼き芋を作りたい

 「い~しや~きいも~♪」

 聞きなれたこの呼び声は、日本の冬の風物詩だ。先日、街中で焼き芋屋さんの軽トラックを目にして、ふと昔懐かしい気持ちになった。自分が子どものころは、よく父親がたき火をしてお芋を焼いてくれたっけ。そういえば最近、たき火をする機会などめったにない。ここは一つチャレンジしてみようか――。

 「たき火かあ、いいね! 焼き芋作ったら子どもたちも喜びそう」

 妻に話すと即座に乗り気になってくれた。問題はどこでたき火をするか、だ。

 昔と違い、家の近所で気軽にたき火というわけにはいかない。直火なんてもっての外だ。誰かに気兼ねすることもなく、安全にたき火が行える場所――改めて考えてみると、そういうところは都会の近くにはほとんど存在しない。世知辛いが、これも時代の流れだろう。

 あれこれ検討したすえ、確実なのはキャンプ場かなという結論に至った。たき火といえば、キャンプの定番アクティビティーである。たき火をするためだけにキャンプ場へ行くのも大げさな気もしたが、宿泊はせずに日帰りで楽しめばいい(半日旅なので)。デイキャンプなら手軽だし、装備も最低限で済む。

 実は、最初はバーベキュー場も調べてみたのだが、あくまでもバーベキューのための施設なので、たき火を行うのは現実的ではなさそうだった。炭の用意はあるものの、まきまでは置いてないため、自前で用意していかなければならないのもネックだった。

 なるべく手間をかけずに、気軽にたき火を楽しむ。そういう方向性だと、設備が整ったキャンプ場はむしろおあつらえ向きなのだ。

 結局、東京からそれほど遠くないキャンプ場の中から候補地を絞り込み、千葉市にある「昭和の森フォレストビレッジ」へ行くことにした。決め手となったのは、千葉県内でも最大級の公園「千葉市 昭和の森」の中というロケーションだ。たき火がてら子どもたちを遊ばせるには最高の環境である。

 デイキャンプのチェックインは13時からなので、午前中は公園で過ごすことにした。遊び疲れたタイミングで火を囲み、おやつに芋を焼いて食べる。計画するだけでワクワクした。大人も心から楽しめるかどうかは、子連れ旅を成功させるうえでの重要なキーポイントだ。

たき火であったまる。寒い冬ならではの旅になりそうだ
たき火であったまる。寒い冬ならではの旅になりそうだ