IBMの人工知能(AI)、ワトソンの最年少プログラマーとして活躍する、カナダ在住のタンメイ・バクシさん(15)。5歳でプログラミングを始め、7歳でプログラミング講座のユーチューブ(YouTube)チャンネルを開設した。9歳の時、iOSアプリを開発してアップルストアに認められ、注目される。現在はホームスクーリングで教育を受けながら、世界各地の国際会議や学会、企業などで講演もする。3回シリーズの第2回はバクシさんと両親に「親子との関わり」について聞いた。

子どもの興味を知った父親の手ほどきで更に熱中していった

 家で仕事をしていた父の姿が、プログラミングに興味を持つきっかけとなったバクシさん。しかし、両親が天才プログラマーを育てるために、とりわけ教育熱心だった、というわけではなかった。

 「ごく普通の家庭環境だったと思います。プログラミングは僕が楽しいからやっているだけです。今もそうですが、『やらなければいけない』と思ったことがない」(バクシさん)

 とはいえ、バクシさんの両親は息子の適性を見極め、まるで背中を押すように、惜しみなく好奇心に向き合っていった

 バクシさんがプログラミングに興味を持った頃、父プニートさんは家で仕事をすることが多く、プログラミングでできることを次々と見せ、そのたびにバクシさんは、テクノロジーの世界にますますのめり込んだのだ。

 「私が気を付けたのは、子どもがあくまでも『自然に』興味を伸ばすこと。プログラミングで将来のITリーダーになってほしいなんて、思ったことはない。子どもが満足できる選択は何か、親はそれを知ることができる。もし、自分の子どもの興味の対象が絵画やスケートだったとしたら、その分野で活躍できるようにサポートをしてあげたい」

 父のプニートさんはこう話す。プニートさんは息子の関心分野が、自身と同じテクノロジーだったこともあり、必要な情報をすぐ与えることができた。プログラミングの言語を教えたり、学ぶための本やオンラインの資料も息子のために入手した。

 「プログラミングを始めた頃、父は家でも仕事をしていたので、時間をとって手ほどきを受けることができた。やがて、僕はプログラミングに夢中になり、独学もした。その頃父は会社での仕事が増え、家に帰ってきたときに質問をするようになりました。今考えると、すべてのタイミングがラッキーでした」(バクシさん)