マシーン・ラーニングとの出合いで「教育改革」という大きな夢が生まれた

 家族と、いつもオープンに考えを話してきたバクシさん。そうしたコミュニケーションの土台もあり、いつも明確な目標を持って、プログラミングに打ち込むことができた。

 「9歳ぐらいの時は、このままプログラミングを続けて、将来テクノロジーの分野で働くことが目標でした。けれど、テクノロジーに対する認識ががらりと変わったのは、11歳の時。ドキュメンタリーで、質問に答えることができる、IBMの人工知能(AI)ワトソン(Watson)が、クイズ番組『ジェパディ!(Jeopardy!)』で使われているのを見て、衝撃を受けました。それでマシーン・ラーニング(機械が人間のように学習する仕組み)に興味を持ちました。それからは、マシーン・ラーニングのテクノロジーを使って、自分が世の中にどのような影響を及ぼすことができるのか、考えるようになりました

 バクシさんがマシーン・ラーニングを使って、実現させていきたいことの一つは「教育改革」だ。プログラミングの授業など、最新の教育プログラムについてではない。長い間教え方が変わっていない、国語、算数、理科、社会といった基礎的な教科だ。

 「人はそれぞれに効果的な学び方があります。例えば、遺伝について学習するなら、僕なら統計や数字が分かりやすいし、人によっては、イラストなどビジュアルを使ったほうが理解できるかもしれない。それなのに、一人の先生が、生徒を集団で教えるスタイルが続いている。それでは、学習の効率がいいとは言えないでしょう」(バクシさん)