社会的活動をメンタル面で母が支える。カギは会話

 バクシさんはプログラミングの言語を一通り学ぶと、ユーチューブでチュートリアル(指導)をして質問やフィードバックを受けたり、開発したアプリを公表したり、プログラミングの指南本を出版したり、社会人向けに講演をするといった、社会的な活動もしている。同世代の子どもたちは、自分たちが学んだり、遊んだりするのに忙しい年ごろだ。バクシさんには、精神的なプレッシャーやストレスはなかったのだろうか。

 メンタル面で大きな支えとなっているのが、母親の存在だという。プログラミングにのめり込む傍ら、卓球をしたり、自転車に乗ったり、友達と遊んだりと活発なバクシさんだが、母のスミタさんは、時間さえあれば、できるだけ子どもと話す時間を持つようにした。

 「友達のような距離感で、たくさんの時間を使って、話をするようにしました。子どもが何を考えているかを理解するためです。こうした関係を普段から築いていないと、特に厳しくしつけをしているつもりはなくても、子どもは親を『怖い』と思い、それゆえ言うことを聞かなければいけないと思ってしまうでしょう。自分のことを分かってくれている人が言ってくれることなら、というふうにして、子どもは心から親が話すことも自然に受け入れられるようになります

 ホームスクーリングで学び、海外での講演など多忙なバクシさんのスケジュールを調整できるよう、母のスミタさんは現在、仕事をせず、息子のマネジメントに専念している。