夫婦や家族はいわば一つのチームです。人生にはさまざまな局面がありますが、特に子どもができると、これまでとは違う選択肢を迫られるシーンが増えることに。キャリアに関しては可能性が狭まるかのように見えますが、夫婦を一つのチームとして考えれば、実は「夫+妻=2」ではなく「夫+妻=無限の可能性」となります。人生100年時代といわれる現代。人生後半でのキャリアチェンジや、子育てが終わってからの人生も見据えた「夫婦のチーム力」を特集します。

妻が育児に専念したり、夫が育児に専念したり、夫も妻も一時的に仕事をセーブして育児をしたりと、家庭ごとのスタイルがあるでしょう。どちらかがどちらかの犠牲になるのではなく、長い目で見て仕事フルモードのときとそうでないときとのバランスを夫婦間で取りながら、お互いをサポートし合い、家族も夢(キャリア)も諦めない。そんな人たちの生き方を、インタビューを通して紹介していきます。

特集の1、2回目はスペシャルゲストとして、長らく日本女子サッカー界をけん引してきて、今は2歳の子どもを子育て中の澤穂希さんに話を伺いました。

【「夫婦×キャリア」チーム力の新方程式 特集】
(1) 澤穂希 子育ての一瞬に全力で向き合い悔いは残さない ←今回はココ
(2) 澤穂希 家族はチーム 愛情も要望もきちんと伝える
(3) 絶望した出産トラブル 家庭も仕事も諦めなかった
(4)  初代イクボス「夫婦の危機を乗り越える」秘訣とは
(5) 夢は海外移住 どこでも仕事可のフレキシブル夫婦
(6) 大企業を辞め起業した夫&応援も自己実現もする妻

チームメイトと共に数々の偉業を成し遂げた

 澤穂希さんが、初めてボールを蹴ったのは6歳の時。以降、さまざまなチームに所属してサッカーを楽しんだ。

 2011年、ドイツ女子W杯決勝戦。長年勝てなかった米国を相手に、なでしこジャパンは苦闘に苦闘を重ねていた。1点差をつけられて迎えた延長後半の残り少ない時間でキャプテンの澤さんがゴール。その勢いでなでしこジャパンはPK戦を制し、悲願の世界一に。どんな苦境に立たされても最後まで夢を諦めない澤さんの姿を、今も忘れられないという人は少なくないだろう

 チームメイトと共に数々の偉業を築いてきた澤さん。そんな澤さんは今、「夫婦」や「家族」という名のチームに、どのように向き合っているのだろうか。

 

常にフルモードで戦う生活から一転

 澤さんは中学3年の時に初めて日本代表に選ばれ、五輪に4回出場、女子W杯に6大会連続出場。2015年12月に37歳で引退するまで、常に100%全力で駆け抜けてきた。2011年には、FIFA女子年間最優秀選手に選ばれる快挙も成し遂げた。

 澤さんは2015年8月8日に結婚し、同年12月に現役を引退した。夫は、元サッカー選手で現在、Jリーグ「ベガルタ仙台」に勤務している。

 現役時代、ベストなコンディションで試合に挑むために、20代初めの頃から朝の目覚めと共に基礎体温を毎日測り、それをコンスタントに記録し自分のバイオリズムを把握していた澤さん。30代の頃からはホームドクターに相談して低用量ピルを服用していた。「いつかは子どもが欲しい」という夢も持ちながらサッカー選手としてのコンディショニングと平行して女性としての健康にも特別な気を遣い、将来に向けて常に準備をしていた

 そして、2017年1月に女児を出産。それからは、勝利のために常にフルモードでまい進する選手生活から一転して子育て中心の生活へ。戸惑いや物足りなさを感じることはなかったのだろうか。

澤穂希さん