タレント、イラストエッセイストとして華やかな世界で活躍中の犬山紙子さん。一方、夫の劔樹人さんは、ミュージシャン・漫画家でありながら、専業主夫としての仕事を生活の中心に据え、娘チャゲちゃんの保育園の送り迎えにお世話にと、忙しい日々を送っています。そんなユニークな夫婦に、新時代の子育て事情はどのように映っているのでしょうか。犬山さんのエッセー、劔さんのマンガの2本立て連載でお伝えします。

心が怒りに支配されて、プライベートにも影響が…

 SNSをやっていると日々許せないニュースがどんどん飛び込んできます。そんな差別発言が? こんなひどいことをする人がいるの? 政府のこの見解はどうなの?ってな具合で、SNSを見ると心が忙しくて忙しくて。ちょっとしたつぶやきやコミュニケーションのためのSNSのつもりが、かなりのストレッサーになっていたりするんですよね

 これ、今更?って話なんですが真面目であれば真面目であるほど陥りやすいストレス地獄。全部の問題に向き合って、向き合うとどうしても疲弊するから疲れ切ってしまう

 私が真面目かどうかは置いといて、以前は「なんてひどいことを書くんだろう!」と憤ってはその気持ちがずっと続いて、プライベートでもなかなか切り替えられませんでした。夫からの呼びかけに生返事をしてしまったり、あまりにも腹がたつニュースを見たときなんかは怒りが収まらずピリついた空気を出してしまったり。明らかにプライベートにまで支障が出る始末でした。プライベートが怒りに支配されそうになってしまったんですね。これはどう考えてもまずい。そうでなくてもコメンテーターとしてさまざまな事件に向き合わなきゃいけないのに。

 要するに私は自分のキャパを超えたニュースや事件や炎上を日々見て、心が忙しく動いて、どうしようもない怒りをため込んでいたんですね。ネットがない頃は身の回りとテレビや雑誌で伝わることを意識しているだけだったけど、今は見ようと思えばいくらでも事件が目に入る。それは政治から個人の炎上まで幅広くです。もちろん、政治には目を向けていたいし怒るべきところで怒っていきたい。評価できることは評価もしていきたい。でもそのためにはニュースのソースを確認し、背景を調べて自分なりに咀嚼(そしゃく)して考えを持つというかなりの作業が必要で。これを政治から炎上まで心がざわついたものすべてに反応していたら、とてもじゃないけど心が持たないんですよね。