つらくなったら? 自分に、子どもに伝えたいこと

犬山 コロナの自粛生活で、イライラして子どもとの関係が悪くなり、自分は虐待親の寸前なのではと悩んでいる人も増えていると思います。子どもに怒鳴ってしまったり、「脳の中で」手を上げてしまったり、リアルに手を上げてしまった、激しい夫婦ゲンカを見せてしまったなど、子どもとの関係で悩んでいる親はどこに助けを求めたらいいのでしょうか。

帆足 親の子育て支援をしている機関がいろいろあります。そこにつながることがお勧めです。その上で、お伝えしたいのは、今は新型コロナウイルスによる特別な状況にあるということです。ですから、虐待してしまったとすぐに自分を責めないでほしいのです。「自分はダメな悪い親だ」と決して思わないでください

 今は、コロナウイルスによって制限が課されている中で生活せざるを得ない状況にあるのです。こういう状況にならなければ、そんなことはしなくて済んだはずなのです。

 それに、自分が虐待をするようなダメな親なんだと思っていると、「私はどうせダメな親なんだから、仕方ないんだ」という気持ちが湧いてきて、虐待をするハードル下がってしまいます。

 「自分が悪い」と落ち込むのではなく、「こういう理由があって、私はこれだけ追い詰められているのだ。それで、イライラして子どもに当たってしまった」と客観的に自分を整理し、「でも、私は本来はここまではしない人間だ」と自分に言い聞かせていく必要があります。自分への信頼を高めると言うことです。すると次にイライラしたときに「私はそういう人間ではない」と心に少しゆとりが持て、自分を立て直すことができます。

 もちろん子どもへのケアも必要です。子どもは自分が悪いからママ/パパが怒ったと思ってしまいやすいので、そうではないことを伝え、気持ちを整理してあげなければなりません。もう1人の親、あるいは第三者から「つらかったね。でもあなたが悪いんじゃないよ。」と言ってあげる必要があります。

 そして大人を代表して「あなたじゃない誰かが、つらくなったママ/パパを支えなければならなかったのに、支えられなくてごめんね」と子どもに謝らなければなりません。

 今、追い詰められて虐待が不安なママ/パパは、誰かに「あなたはそういう人じゃないんだよ、そうするだけの理由があったと思うよ。子どももつらかったけど、あなたが一番つらかったね」と受け止めてもらうべき状況です。コロナ禍であっても、電話やSkypeなどオンラインなら相談が可能なので、追い詰められて苦しかったり、虐待をしそうだと思ったりしたら、保育園、小児科、子育て支援センターなど支援してくれる機関に連絡をしてください