タレント、イラストエッセイストとして華やかな世界で活躍中の犬山紙子さん。一方、夫の劔樹人さんは、ミュージシャン・漫画家でありながら、専業主夫としての仕事を生活の中心に据え、娘チャゲちゃんの保育園の送り迎えにお世話にと、忙しい日々を送っています。そんなユニークな夫婦に、新時代の子育て事情はどのように映っているのでしょうか。犬山さんのエッセー、劔さんのマンガの2本立て連載でお伝えします。

児童虐待のニュースに絶望感を抱くのはなぜだろう、から始まった活動

#こどものいのちはこどものもの

 という活動を始めて丸っと1年がたちました。この活動は「児童虐待をなくすためにはどうすればよいんだろう、何をすればよいんだろう」を考えて自分たちなりに活動しているもので、草野絵美、坂本美雨、福田萌、ファンタジスタさくらだ、眞鍋かをり、そして私がボランティアでやっています。

 虐待のニュースを聞くとどうにもつらいという人は多いのではないでしょうか。私もつらくてつらくてたまらなくて、テレビでコメントしなきゃいけないのに泣いてしまうこともありました。でも、自分の子どもでもない、1度も会ったことのない子どものことで、なんでこんなにも心が傷つくんだろうと思いもします。

 それは多分「子どもを守れるのは大人だけなのに、大人である自分は何もできなかったし、何かできる気もしない」という絶望感のせいだと思いました。何かしたいけど自分一人じゃ何もできないし、何も変えられない、そもそも自分の生活だけで精いっぱいじゃんって。でもそれは、今まさに虐待を受けている子どもに何もしないってことだし、同じようなニュースを見たとき、また罪悪感を抱いて、きっと目をそらすことになるんだろうって。

声をあげるのは大人の責任。国に思いを届けた

 私はニュースを見た人がこんなことを思わされてしまうのは、政治の責任だと思っています。子どもが虐待を受けないように努力して成果を上げることは国の責務ですから。でも、その国を作るのは私たちなので「子どもが虐待されないようにちゃんと動かないと怒るよ」と国に向けてアピールするのは大人の責任であるとも思うわけです。子どもはいくら何か訴えたくても選挙権はないですから、選挙権のある大人がやらなきゃいけない。

 てなわけでこの活動は、そのアピールからスタートしました。だって児童相談所の数も、児童福祉司や児童心理司の数も、一時保護所も里親も圧倒的に足りていない。子どもの情報の連携も、虐待を受けた子どもの心のケアも、虐待親のカウンセリングも何もかも足りていない。そもそも子どもの権利が守られていない。

 素人でも、本を読んだり専門家に話を聞きに行くと、すぐにそうとわかるレベルで、足りていなかったんですから。そんなわけで、最初は「#児童虐待問題に取り組まない議員を私は支持しません」というハッシュタグを走らせたのでした。そしてそこから#こどものいのちはこどものものを走らせ、そこに集まった人々の意見を当時の厚生労働副大臣にすべて渡すということをしたのでした。こんだけ国民はどうにかしてほしいって思ってるよって。