タレント、イラストエッセイストとして華やかな世界で活躍中の犬山紙子さん。一方、夫の劔樹人さんは、ミュージシャン・漫画家でありながら、専業主夫としての仕事を生活の中心に据え、娘チャゲちゃんの保育園の送り迎えに、お世話にと忙しい日々を送っています。そんなユニークな夫婦に、新時代の子育て事情はどのように映っているのでしょうか。犬山さんのエッセイ、劔さんのマンガの2本立て連載でお伝えします。

ワーキングマザーだけでない。日本の母親は皆大変な思いをしている

 日本のワーキングマザーの過大な負担が話題になりました(発端は日本の共働き家庭に密着し、ワンオペの母親が一日中、子育てや家事、仕事に追われる様子を描いた、ニューヨークタイムズの記事で取り上げられたことですが、取材を受けたご夫婦はあの記事に対して19個の事実誤認を確認したと発言されています「あの記事の妻がかわいそう! 夫はひどい!」と鵜呑みにして個人を責めるのはやめるべきです)。

 私自身妊娠する前に子どもを持つかどうか悩み、たくさんの方に取材をしてきたのですが、そこで感じたのはワーキングマザーも専業主婦も、日本で「母親」をやるということがあまりにも大変だということです(ワーキングマザーという言葉に実は違和感を持ってもいます。家事育児も立派な仕事なので専業主婦もワーキングマザーですよね)。

 そう、専業主婦もです。子どものことってやろうと思えば際限なくやれることがある。食材に拘ったり勉強を見たり習い事を考えたり、子どもにとって良いと言われていることはごまんとある。取材した専業主婦の方は「専業主婦なんだから家事育児は完璧にやって当たり前」というすごいプレッシャーの中、分刻みのスケジュールでそれらをこなしていました。家事代行サービスやシッターさんを使うのもワーママよりもさらに罪悪感がのしかかることでしょう。