犬山紙子さんのエッセーと夫・劔樹人さんのマンガを交互にお届けしている本連載。今回は、犬山さんが「ルッキズム(外見至上主義)」の価値観が存在する社会で子育てをすることについてつづりました。五輪開会式の演出として、タレントの容姿を取り上げるという不適切な案が出されていたことが明らかになったことから注目を集めたルッキズム。批判が盛り上がる中、自分の中にルッキズムがあると感じたり、自身もルッキズムに苦しんできたと思ったりした人もいるでしょう。子どもにルッキズムの価値観を持たせないためにはどうしたらよいのでしょうか。

「大好きだからかわいい」という真理を子が再確認させてくれた

 子どもに毎日「なんでそんなにかわいいの~~」とデレデレしながら言い続けていたら、3歳の終わりに「それはママが私を大好きだからだよ」と答えをくれた。それがあまりにも真理で、私は一瞬面食らってしまった。ルッキズム(外見のよい人を厚遇し、そうでない人に不利益を及ぼす外見至上主義)に出会う前の娘の心は美の真理を知っていたのだ。

 きっと私も幼い頃は知っていたんだろう。でも、成長とともにルッキズムを内面化した私はその真理を忘れてしまい、社会の提示する美の物差しでばかり測るようになってしまった。だから私は子どもの言葉に一瞬面食らってしまったのだろう。

 ここ最近ルッキズムがワイドショーなどでも問題提起されるようになってきた。そこには「オリンピック」という視聴率がくっつく要素があるからこんなにも取り上げられているのかもしれない。

 けれど、マスコミがルッキズムの問題を取り上げるというのは本当に大切な一歩だと感じている。ルッキズムとテレビは切っても切り離せない問題だし、それをあおってきたメディアの責任とセットで語られる様子も見られる。それも、これまでの歴史でルッキズムに「NO」を言い続け、問題提起し続けた人がいるからこそだ。