正しい情報を見極める方法を知っておこう
もう一つの「エビデンス」の見方ですが、言葉は知っていてもどのようにエビデンスのレベルが設定されているのかは知らないという人もいると思います。そういった方もぜひ、そこで示されているエビデンスがどの程度信頼できるのかまで調べておくことをお勧めします。というのも「エビデンスあり」と書いてあると「じゃあ信頼できる」と勘違いしてしまうからです。そこからさらに、そのエビデンスレベルが低いのか高いのか、そこを自分で判断できるようになっておいたほうがいいんですよね。
例えば「これは専門家の意見です」と聞くと、「専門家の言うことだから正しいだろう」と思ってしまいますが、データに基づかない「専門家の意見」は症例報告よりもエビデンスレベルが低いそうです。エビデンスレベルを低い方から順番に言うと、「専門家の意見」「症例報告/ケースシリーズ」「コホート研究」「ランダム化比較試験」「系統的レビュー/メタ解析」となります(『医師が教える 最善の健康法』名取 宏/内外出版社 より)。これらをすべて理解するのは大変だという人も、エビデンスにはレベルがあるということを知っておくだけでも大きな意味があると思うのです(※ただしエビデンスレベルを絶対的なものとして捉えるより、信頼性を測る尺度の一つと捉えていたほうがよい)。
エビデンスの見方はネットで検索すればいくらでも出てきます。私の場合、きちんと知りたかったので前出の本を参考にしています。さらに、情報を正確に受け取る知識を身に付けるためには厚生労働省の「『統合医療』情報発信サイト」の「情報の見極め方」というページを参考にすることをお薦めします。
正常な判断をするためにも知識を。そして日々の生活の中の楽しいことを大切にすること。私たち一人一人が冷静であることは家族、地域、国をより良いほうに導く大切な要素だと思っています。今の状況で冷静になれといっても、本当にキツイんですが、キツイからこそ、今一度、自分を冷静な状況にリセットできたらと思います。
イラストエッセイスト
撮影/花井智子