子どもに不安感を伝える強さがあったことで、教育虐待の危機を回避

 前回のエピソードでもお話ししたように、家族の中で大切なのは、夫婦、きょうだい同士などの「横」のつながりです。しかし、親子間の「縦」のつながりが強いままだと、子育てに関してもパートナーと協力しよう意識が弱くなり、子どもは両親が不仲なのではないかと不安感を持ちます。また、時代や子どもの個性に合わない教育方針が継承され、強要されると、行き過ぎた場合、最悪の結末を迎えることもあります。

 このマンガの女の子は、自分の両親の関係に距離があることや、受験に成功することが幸せへの道という親の価値観に違和感を持ったのでしょう。「受験拒否」という抗議に出たおかげで、祖母や父母のそれぞれが家族の在り方を考え直すチャンスを得ることができました。(節子先生)

田村節子
東京成徳大学心理・教育相談センター長・教授、臨床心理士、学校心理士スーパーバイザー
筑波大学大学院出身。博士(心理学)。3人の男の子を育てながら、長年、小中学校のスクールカウンセラーとして活動。親と教師が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱している。カウンセリング活動の過程で開発した「石隈・田村式援助チームシート」は、全国の教育現場で活用されている。多くの親子の悩みに触れるうちに発見した子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則「親と子が幸せになるXとYの法則」はテレビでも話題に。著書に『親と子が幸せになる「XとYの法則」』(ほんの森出版 )など。

取材・マンガ/オオスキトモコ