近年注目されているのが、わが子に過剰な期待と負担をかけ、結果として子どもの心を傷つけてしまう、いわゆる「教育虐待」です。この連載では、子どもを思う、よい親だからこそしてしまう恐れのある「教育虐待」について、マンガを通して考えていきます。東京成徳大学教授で臨床心理士の田村節子先生の解説と併せてお読みください。

エピソード3 「できる」のはうれしい。けれど……

 パンダの親子を思い出してください。体全体でじゃれ合って愛情表現をしていますね。本来、人間の親子にもこうした動物的なふれあいが必要です。子どもをギュッと抱きしめて「よしよーし」とかわいがる。そこに特別な理由は必要ありません。「あなたがあなたでいてくれるだけで幸せだよ」。それが唯一の理由です。子どもが生まれたときは皆そんな気持ちを持っていたはず。でも成長するに従い「ギュッ」の理由が変わってきていませんか?(節子先生)