ほめるべきはそこへの努力

 他の子より「早く」自転車に乗れたからすごい、100点だからすごいという理由でほめていたら、子どもにとって、自分の存在意義は「条件付き」となってしまいます。「100点でなければ僕はこの家の子でいられないのだ」と追い詰められ、親に認められるために頑張るようになってしまうのです。子どもの頑張る動機がそうなってしまう前に、条件付きの「ほめ」はやめましょう。40点でも80点でも子どもが頑張ったのなら、その頑張りを認めることが大切です。親がそんなふうに変われなかった場合、昭和の子どもは、「盗んだバイク」で走り出し、街で仲間を探しました。今の子どもはネットの世界をさまよいます。(節子先生)

田村節子
東京成徳大学心理・教育相談センター長・教授、臨床心理士、学校心理士スーパーバイザー
筑波大学大学院出身。博士(心理学)。3人の男の子を育てながら、長年、小中学校のスクールカウンセラーとして活動。親と教師が一体となって子どもを援助する“チーム援助”を提唱している。カウンセリング活動の過程で開発した「石隈・田村式援助チームシート」は、全国の教育現場で活用されている。多くの親子の悩みに触れるうちに発見した子どもの自立を促進する・促進しにくい親と子の関わり方の法則「親と子が幸せになるXとYの法則」はテレビでも話題に。著書に『親と子が幸せになる「XとYの法則」』(ほんの森出版 )など。

取材・マンガ/オオスキトモコ