秋晴れの日が増えてきました。皆さんは週末、どのようにお過ごしでしょうか?

 わが家は最近「お祭り」に行く機会が増えました。神社などが主催する秋祭り、高校の学園祭や大学祭。秋は様々な催しがあります。この間の日曜は、東京都三鷹市にある国際基督教大学(ICU)に行きました。

「劇団虹」のミュージカルが教えること

 大学祭には様々な催しがあります。子どもの目当ては、食べ物屋さん。小籠包、色んな種類のタピオカドリンク付き綿あめ、味を選べるフライドポテト、イタリアで1年料理修行した学生さんが作った本格的なスープなど、珍しいものも多く楽しく美味しく頂きました。

 その後、いくつかの催しを見た中で、小学1年生の娘が「一番面白かった」と言っていたのが「劇団虹」のミュージカルでした。主人公は、ちょっと変わった子という設定で、そこに、2種類の「友達」が現れます。

 片方の友達は、赤や青、緑と異なる衣装を身に着け、名前も性格も違います。もう片方は灰色の衣装に身を包んだ、ちょっと怖そうな子たちでした。

 異なる色の子たちのほうは、時に喧嘩もします。お互いの違う部分を認められずに言い合いになるシーンも。一方、灰色の衣装に身を包んだ子たちは「みんな同じ」ことの意義を主張します。「違うと理解されない。ひとりぼっち」というフレーズで「みんなと同じになろう」と主人公を誘います。

 客席の前方には子ども達が座っていて、登場人物が話しかけたり、一緒に歌を歌ったりするので、参加型で楽しめる仕組みになっていました。悪役・灰色の子に迫力があったため、小さな子が泣く場面もありました。

 劇のテーマが「ダイバーシティの意義」であることに、大人の観客は気づいたかもしれません。私が感心したのは「ダイバーシティ」とか「多様性」という言葉を全く使わずに、小さな子どもにも分かる伝え方をしていたことです。

 この劇では「違うのはいいこと」と最初から理想論を打ち出すことをせず、主人公と一緒に子どもが考えられる構成になっていました。また「みんな同じ」を掲げていた灰色のキャラクターも、最終的には「灰色というのも個性」を認められ、色んな色の仲間になる、という流れになっていました。娘は「迫力があった!」と笑顔で感想を述べていました。

 大人目線で考えると、多様性のメリット・デメリットの両方を提示していたところが良いと思いました。実際、職場に「違う人」が集まると合意形成に時間がかかったり、プロジェクトがうまく進まなかったりすることがあります。「多様性」というのは、自分が「受け入れられる側」である場合はありがたい概念ですが、自分が多数派だったりマネジメントの立場にいたりすると、やっかいに思うこともあるのが現実です。

(提供:劇団虹)
(提供:劇団虹)