ジャーナリストの治部れんげさんが、小4の息子さんと一緒に、生活の中の「ジェンダー(社会的性差)」問題に着目して語る連載です。ジェンダーに詳しい治部さんと瑞々しい感覚を持つ息子さんのやり取りは発見に満ちています。連載第2回のテーマは、最新SFアクション映画の中の女性の描かれ方です。

「あ、また女がクネクネした!」「ほら、また男がカッコつけてる」

 わが家には小学生の男の子と女の子がいます。面白いのは、同じように育てていても、きょうだいそれぞれ、好みが違うこと。「ジェンダーは社会的に作られた性差である」と分かったうえで、目の前で繰り広げられる息子と娘の言動を眺めていると、日々、新たな発見があります。

 例えば電車の中で見る広告。綺麗なお姉さんが登場する化粧品や脱毛、お酒の広告を見て「あ、素敵!」とか「あたし、こっちのお姉さんの方が好き」と言う娘は、どうやら、髪が長いことが評価ポイントのようです。

 (ちなみに、女の子を複数育てている人に聞くと、こういった好みは「個人差」であって「時とともにだんだん変わっていく」という意見をよく聞きます)

 一方、妹の「いかにも女の子らしい発言」を聞いて「げ!」とツッコミを入れる兄。こちらは、いわゆる「女らしい表現」も「男らしい表現」も好きではありません。例えばある日、一緒に乗った電車の中で流れる動画広告を眺めていると……。

 「あ、また女がクネクネした!」「ほら、また男がカッコつけてる」。次々表れる短い映像に片端からダメ出しをする息子に、私が思わずフォローしたことも。「広告だから、綺麗な女の人を出して『私もこうなりたい!』と思ってもらわないと、ビジネスにならないからじゃない?」。

 遊び半分で意見を言っていると「ママはこういう話が好きそう」とか「息子はこの動画が好きそう」と見当がつくようになります。最近見て、私も息子も気に入った映画のひとつが、今回ご紹介する実写版『トランスフォーマー』シリーズです。